正確に・速く叩けるようになるには加速減速を繰り返す練習方法が最も有効
なんとか手足を動かせるようになったそのフレーズ、いきなり速いテンポにもっていこうとしていませんか?
やりたいフレーズを覚えたものの、原曲テンポでやろうとするとまったくできないのは、
まだ手足が速く動かせない段階であり、正確さと速度を上げるための練習方法が適切に充分行えていない。それでも無理やりやろうとしているからです。
でもですね、分かるんですよ、その気持ち。
やっとこさできるようになった、自分がかっこいいと思ったフレーズ。
はやく原曲と同じテンポで叩けるようになりたいですよね。
原曲と同じようにできた時って、「憧れのドラマーと同じことができてるぅぅぅ!」「聴こえてきた音と同じことができてるぅぅ!」という高揚感があってホントに嬉しいですから。
だからこそ、高揚感、気持ちよさを得つつ自分の演奏力もレベルアップしていきたいなら、まずは一旦逸る気持ちを抑えましょう。
で、本題ですが、大事なのはやはり練習方法です。
正確に・速く叩けるようになるためには、今回紹介する
「演奏の流れを止めずに、加速・減速を繰り返す」
が有効です。(メトロノームは一切使いません。)
「テンポシフト法」とでも仮に名付けておきましょう。
僕はこのテンポシフト法を取り入れていたことで、おそらく通常よりも早くものごとを習得できたと思います。(比べようがないのであくまでも体感ですけどね。)
ということで、「覚えたフレーズの正確さと速度がなかなか上がらない」を解決するこの練習方法をお伝えしていきます。
演奏は止めずに速度を上げ下げする
演奏可能テンポを上げるための練習方法としてよく用いられているのは、
例えば テンポ100で該当フレーズを練習。
一定時間繰り返したら一回演奏をストップ。
次はテンポ110にしてまた挑戦。
ではないでしょうか。
これはテンポを変えるたびに一回一回演奏を止めますが、
僕がやっている「テンポシフト法」は
「演奏を止めずにリアルタイムでテンポを速くしたり遅くしたりする」やり方です。
メリットとしては、
流れを止めないことで、ゆっくりの時と速くした時の体の動きを比較しやすい
できないと分かった瞬間に速度を落とせるため、何度もやり直しをしなくてよい
テンポをキープするなどの「別のテーマ」が入ってきてしまったり、すげ変わったりするのを防げる
などの理由によって「今起きていること」にだけ耳や体の神経を向けられることだと思っています。
だから、速度を上げる、正確さを上げるという本来の目的にだけ集中することができるんです。
では、テンポシフト法の有効性もご理解いただけたところで具体例にレッツゴーです。
徐々に上げ下げするのがポイント
という課題があるとしましょう。
この1発めを正確なタイミングで踏んで、スピードも上がるようにするためには、
まず100%確実にできるテンポからスタートさせ、徐々にスピードを上げていきます。
急激には上げず、じわじわと上げていってください。
そして速度を上げていくと、どこかのタイミングで上手くできないポイントに到達すると思います。
そこが今の自分の限界点です。
限界点に達したら(間違えてしまったら)、演奏は止めずにそのまま少しずつスピードダウンさせていきます。
できない速度なのに無理に続けようとしないでください。潔く速度を落しましょう。
速度を落すときは、これでもかというくらいの遅さまで下げます。
遅いテンポまで落としたら、演奏は止めずにそこからまた徐々に速度を上げていきます。
すると、また同じ限界点あたりでミスをしてしまうと思いますが、そうしたらまた下げていき…を何度も繰り返します。
これを日々繰り返していると、限界点を突破できるタイミングが必ずやってきます。
速度の上げ下げの波は、毎回一定でなくても構いません。
上りは割と緩やかだけど下りはそれよりも少しだけ速めに下降させていくとか、
限界点に達した後に少し下げたら、その速度をちょっとだけキープさせるとか、
思うがままにやってOKです。
なぜ演奏を止めずに速度を上げ下げすると良いのか
あくまでも僕の感じたことになるのですが、二つあります。
まず一つは力みの解消です。
速い速度になるとうまくいかないのは、力んでしまうからです。
問題なく余裕で叩けているときって、体には不要な力が入っていないはずです。
ゆっくりから初めて速度を上げていくと、限界点付近からは力みで体が硬くなり上手く動かせなくなると思います。
この「力み状態」から速度を徐々に落して「リラックス状態」に移行させることで、体のどの部分が力んでいるのかがとてもよく分かります。
すると無駄な力を入れないためには体のどの部分をもっと動かせばいいのか、どう使うといいのか、が見えてくるようになります。
二つ目は、正しい体の使い方の把握です。
速いときと遅いときでは、叩き方(体の使い方)が違います。
テンポを固定せず徐々に変化させていくことで、速いときと遅いときの動きの違いを認識でき、どの地点から叩き方が変わるのかが理解できます。
するとそれぞれの速度に適した叩き方が見えてくるのです。
以上の二つのことから、正確かつ速く叩くための要素が身につくのだと思っています。
どんなフレーズでも使える
テンポシフト法は、あらゆる技術やフレーズ、パターンに対しても使える練習方法です。
シングルストロークやダブルストロークはもちろん他ルーディメンツといったスティックコントロールはもちろん、
32分や6連を絡めたフィルイン、手足が重なることのないフレーズであるリニアパターン、両手両足をバラバラに動かす4wayコーディネーション等、
なんでも来いです。
終わりに
僕はあらゆるフレーズ、技術をこのやり方で習得してきました。
テンポシフト法なくして今の自分はあり得なかったと思っています。
ぜひ取り入れてレベルアップを目指してください。
他にも「できないことをできるようにするための練習方法」を知りたい方はコチラをどうぞ。
またテンポキープができなくて困っている方には、有料講座もあります。