千文小説 その1207：決まってる
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
13インチのAir。
14インチのPro。
15インチのAir。
次代のMacBookは、そのいずれかになることは、明白。
…なのに、なんで、決まらないのか。
どれもこれも、ぴったり来ない。
それぞれに、もっともらしい理由は付けられるが、あくまでも、外付けで、どうしても、これでなくては、という、切実さが足りない。
にちにちにちにち。にちにちにちにち。
膝の上、一心に、おやつのするめをかじる愛猫に、数種類、異なるメーカーのイカを、差し上げてはみたのですが。
これがいいのだ。
お決めになって、それ以外は、見向きもしない。
今のところ、安定供給ですが、いつ何時、売り場から、カットされないとも限らない。
そうなったら、果たして、どうする？
いつものは、切らしておりまして、申し訳ございませんが、こちらを。
おすすめしても、
嫌じゃ。
いつものをよこせ。
激怒されたら、…どうしたらいいんだろう。
常に恐れて、多めに仕入れて、ちびちびお出ししている、臆病者。
こんなだから、まだ壊れてもいないノートパソコンの、次代のスペックを気にして、文字通り、二進も三進も、行かなくなっているんだよな…。
己の小胆に、つくづく呆れつつ、さて、しかし。
はまり込んだ袋小路から、抜けなくてはならない。
そのための鍵は、やはり、今代が、握っている。
MacBook Pro、13インチ、スペースグレイ。
さしあたり、この三つに、ポイントをしぼろう。
シリーズを継続するのか。
サイズを重視するのか。
色にこだわるのか。
にちにちにちにち。にちにちにちにち。
…どれも違う、という気がする。
じゃあ、お値段？
電子機器は、一台二十万円以内、というマイルールが、最重要とか？
…身も蓋もないね。
さすがに、それでもない。
まだ、何か、見落としている項目がある。
容量？
キーボードの言語？
違うな…。
もう一段、踏み込まなくてはならない。
そもそも、次代を、あらかじめ、決めておきたい理由は、なんなの？
いつもの、が、安心するから？
気持ちの問題？
おそらく、八割方、それだろう。
今すぐ、新しいMacBookを、購入する必要はない。
でも、今代に、なんとなく、落ち着かないものを感じる。
これで、いいのか。
このまま、十年近く、執筆の苦楽をともにする相棒とみなして、正解なのか。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
満腹で、寝落ちした愛猫を、ひよこの毛布でくるんで、抱き直し。
御用達のするめを口に、天井を仰ぎます。
もめている相手が、生物だろうが、無生物だろうが。
自分は、どうするのか。
そこをはっきりさせておかないと、結局、泥沼で、大乱闘。
どうしたいか、ではありません。
具体的に、どのような態度をもって、相手に接するか。
書く時だけにしか使わない、執筆専用機か。
本業も娯楽も含めて生活全般を担当する、マルチマシーンか。
時と場合で用途の変わる、読めない奴か。
…やっぱり、三種類、なんだよな。
おかしくない？
いつでも三つしか、選択肢がないなんて。
頭の中が、凝り固まっているね。
もう少し、世界は、広いと思うんだけど。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
決めつけたくない、というのはある。
これこれが、こうだから、こうなんでしょ？
居丈高に、上から目線で言われても、感じるのは、反発だけ。
さりとて、事実は、枉げられない。
MacBookの次代は、13インチのAir、14インチのPro、15インチのAirのいずれかである、という文言が真であるのは、確定している。
今代のOSの期限が切れたら、僕は、いずれかのMacBookを買う。
…ここだな。
この一文に、嘘がある。
怪しい箇所、その一。
OSの期限が切れるまで、待てるの？
怪しい箇所、その二。
実際に、MacBookを買うの？
ほらね。
三つなんて、ないよ。
きっちり三個揃う、その事実こそ、偽である印。
三人寄れば文殊の知恵、ということわざは、三、という数字の中に避け難くひそむ不均等を、指摘している。
三人が三人とも賛成／反対、という案件など、ないのです。
必ずや、二対一に分かれる。
そして、尊重すべきは、他ならぬ、一、の意見。
どうしても、二、の仲間には入れない、余剰とみなされて、切り捨てられがちなものこそを、掬い取るのが、物書き。
さあ、MacBook問題における、一、とは？
…シリーズ、ですね。
色もインチも、どうでもいい。
Proか、Airか。
どっち？
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
今代が、Proなら、次代も、Pro。
決まってるだろう。
何を、迷うことがある？
…すみませんでした。
あとは、覚悟の領域です。それでは、また。