千文小説 その63:…be fool.
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
万に一つ、億に一つ、兆に一つ。
叶うならば、感無量の夢が、僕には、ある。
King Gnuに、インタビューがしたい。
それも、単発の、短期間ではない。
なるべく、ゆるく、のんびり、時間をかけて、見たり、聞いたり。
ちょっとずつ、文章にして、彼らが歳を取った頃、ほどよくまとまるような。
家族でも、スタッフでも、音楽関係者でもない視点から、物書きとして、最大限、面白い読み物を提供できるなら、ファン冥利に尽きる。
…など、己の分をわきまえない夢想をしながら、彼らの新曲、「F.O.O.L」を聴いています。
ふんしゃ、ふんしゃ。
僕以上に熱狂的な、ヌー推しの愛猫ミントが、リズムに合わせて、左右に身体を揺らします。
右手を傷めるまで、この世界には、左手もあるということを、本当には、わかっていませんでした。
何もかも、右手だけが、やっているような気になっていた。
無理をして、全部しょいこもうとして、疲れ果て、引退した右手を見ながら、しみじみと、女に男に両刀も、という歌詞にうなずきます。
「マスカラ」の時も書きましたが、常田さんは、そんなに気を遣わなくても、というくらい、ジェンダーに関して、細やかな配慮をします。
今時の若者のたしなみなのか。
身近に、該当する方がいるのか。
それもあるだろうが、それだけとは思えない。
「F.O.O.L.」が、「BOY」のカップリング曲であるからには、やはり、どうしても、男子ひいきを緩和する必要がある。
しかし、そもそも、このシングル全体のキーテーマは、「プレイボーイ」。
ウサギがロゴの、ちょっとセクシーな、あの雑誌。
あれは、まあ、完全に、男による、男のための、楽しみのお話。
上品ぶって、女の人にも、ご配慮を、なんて、申し述べたら、それは、嘘。
ただ、あまり露骨に押し出してしまうと、性的差別にあたる。
何より、全ては、音楽。
小難しい議論をすることは、自分たちの仕事ではない。
聴いて、いい気持ちになってくれれば、それこそ、女も男も両刀も、構うことはない。
…そうか。
よそ様に、気を遣っているんじゃないんだ。
全ては、自己批判。
「BOY」とか言って、いきがっているけれど、この世には、男以外もいるんだぞ、と。
刃の先には、常に、己自身。
うーん。
かっこいい。
やっぱり、お会いしたいなあ。
僕の拙い妄想を繰り広げるより、ご本人たちに語っていただいた方が、世のため、人のため。
でも、接点、なさすぎるな。
引きこもりのインターネットライターが、今をときめく人気バンドに取り入ろうだなんて、無謀の極み。
いいや。
仕方ない。
あくまでも、どこまでも、夢見る愚か者のままで、いきましょう。
こつこつと、くだらない思いつきを積み立てた果てに、わずかでも、大事なことを、ハッと思い出させる(引用です)文章が、書けますように。それでは、また。