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千文小説 その1136:肌風

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 黒が、悪いのではない。

 黒と白が、ハイコントラストで迫るから、きついのだ。

 そう気づいて、無印の第九世代のiPad。

 黒縁のケースに、太いブラックベゼル、とにかく、ひたすら真っ黒な機体の画面設定を、ダークモードにしてみました。

 ブック、ミュージック、Safari。

 よく使うアプリの背景が、ものの見事に、漆黒。

 書籍や音楽やショートカットが、暗い背景に、ぽつぽつ浮いて、神秘の小島のよう。

 そして、これまで気になっていた、縁と画面の境目の、ぱっきりとした白黒の対比が、かなり、ぼかされた。

 これなら、いける。

 使ってみよう。

 そうしよう。

 ぬふぬふー。

 ぐふぐふー。

 こらこら。

 むんぎー。

 タブレットと僕の顔の間に割り込んで、なぜか、画面ではなく、こちらをガン見してくる、可愛い妨害工作を、いなしつつ。

 秘技、毛布掛け、を繰り出して、膝の上で、休んでいただき、どうにか、操作を続行します。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 結論から言うと、…引き分けか。

 YouTubeで動画を観る、のは、素晴らしく、観やすい。

 しかし、ブックで読書をする、のは、なんとも、落ち着かない。

 黒地に白文字、というのは、白地に黒文字、で育ってきた身には、一朝一夕には、なじめないもの。

 あまりにも、見た目に気を取られて、肝心の、文章の内容が、うまく受け取れない。

 なので、電子書籍だけ、ライトモードに戻してみるも、それでは、これまでと同じ。

 やはり、白黒コントラストにやられて、いっそう、落ち着かず、すぐにアプリを閉じてしまう。

 …困ったな。

 iPadの役目は、主に、電子書籍リーダーなのに。

 ネットの動画は、これまで通り、必要な分だけ、iPhoneやMacBookで、観ればいい。

 読書は、やっぱり、無印の第五世代のiPadが、最高なんだよな…。

 iPhone12 miniの時は、白との格闘に敗れて、あえなく、リセット。

 先代の、シルバーの、無印の第九世代のiPadの時は、銀との死闘に負けて、知人に譲渡。

 今代の、スペースグレイなのに、ほとんどブラックな、無印の第九世代のiPadの際は、黒との激闘を繰り広げて、…どうなるんだろう。

 僕が勝てば、すなわち、無印の第九世代が、見事、炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンの仲間入りを果たせば、今後、ブラックの機体が参入するハードルが、うんと低くなる。

 だが、僕が散れば、すなわち、無印の第九世代が、リセットしかないね、という結論に達せば、必然的に、白も黒も銀も駄目。

 次代のボディーカラーの選択肢が、狭くなる。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 …黒ではない、となると、MacBookの将来にも、影響が及ぶ。

 というのは、次代を、Proシリーズにする、となると、スペースブラック、もしくは、シルバー、の二択になる。

 シルバーは、キーボードの真っ黒との対比がきつ過ぎて、無理。

 だが、スペースブラックは、文字通り、どこまでも、黒い。

 果たして、耐えられるのか。

 MacBookは、とにかく、高価。

 貴重な所持金を無駄にしないため、Airシリーズの、スペースグレイ、ミッドナイト、スターライト、のどれかにするべきなのでは。

 無印の第九世代のiPadともめることで、このように、MacBookの次代が、ぐらぐらに。

 いいかげん、忍耐の限界。

 そもそも、電子書籍が読みづらい、という時点で、アウトだよな…。

 noteの原稿も、外付けキーボードがないと、書けないし。

 読み書きができないデバイスを、物書きとして、いたずらに、養い続けて、いいものか。

 あきらめるか、ふんばるか。

 いらいらします。

 じりじりです。

 それでも。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 自動で、手が動きます。

 無印の第九世代のiPadを、手に取って、そっ。

 天板から、床に置きます。

 ふわっ。

 安心の空気が、辺りに広がるのを確認し。

 天井を仰いで、ため息を。

 これにて、無印の第九世代のiPad、リセット、確定。

 ですよね…。

 我ながら、さすがに、粘り過ぎ。

 ケースは、処分、本体は、箱詰め。

 頃合いを見て、リサイクルに回そう。

 いいも悪いもない、心身が拒むから、そうせざるを得ない。

 割り切って、振り切って、さて、どうする。

 カメラレオンは、総勢、六台。

 今のところ、みなさん、元気で現役、早急な増員は、必要ない。

 ここを基準に、始めればいいのでは?

 累々たる過去は、さしあたり、脇に置き。

 数々の試練を乗り越えて、丈夫で長持ちしている、真の愛機たちを、バッテリーの寿命まで、大事に、お世話申し上げるのが、ユーザーの僕の、第一の務めなのでは?

 古い殻を破り、新しい風を、肌に浴びたいです。それでは、また。

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