![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156658176/rectangle_large_type_2_85e73ad2ab548eeec69f869a6932fd6b.jpeg?width=1200)
千文小説 その1104:露呈
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
目の前で、ぶちっと、切れたんだよ。
電源、繫いでなかったかな、と思ってね、何度も、挿し直してみたんだけど。
充電ランプが、どうしても、点かなくて、ああ、こりゃ、本格的に、いったな、と。
データ、全部、飛んだよ。
怖いね。
みんな、気をつけてね。
…のんびりとした口調で繰り出される、世にも恐ろしい、ノートパソコンの最期の話を、オンライン会議の後の雑談で、同僚から、聞きながら。
やっぱり、パソコンは、複数台、持つべきだな。
それも、年代やOSが、若干、異なっていた方が、生き延びる率は高い。
データは、全台揃えて、それぞれが、それぞれに対しての予備機になるようにして。
よほどのことがなければ、リセットせず、動くうちは、動かす方向で。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
膝の上、大爆睡の愛猫に、時折、ひよこの毛布を、掛け直して差し上げつつ。
zoomを切って、天井を仰ぎ、今後のデジタルライフについて、長考です。
とにかく、OSが最新である機体が、最低、一台はあること。
iPhoneは、絶対。
MacBookは、多少、切れてもいいかな、と甘くみていましたが、そんなことはない。
本体のため、ではなく、データのため。
OSの異なる機体を、複数台、併用することで、共倒れを防ぐ。
長く一台だけ、というのも良くないし、ころころ買い替える、というのも、効率が悪い。
少しずつ、パソコン自体のグレードを上げていくことにより、無駄な散財を防ぐとともに、よりいっそうの安全を確保する。
初代は、IntelのMacBook Air、13インチ、256GB。
今代は、M1のMacBook Pro、13インチ、256GB。
では、次代は?
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
Airシリーズ、13インチ、256GB、Appleシリコン、日本語キーボード。
おそらく、これが、炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンにおける、最も適正な、MacBookのスペック。
なのだが。
…二台とも、絶妙に、外してない?
初代は、Intel、アメリカンキーボード。
今代は、Proシリーズ。
完璧に五点を押さえている機体は、今のところ、ない。
でも、逆に、外したことによって、こうして、千文小説が書けている、とも言える。
もし、初代の時点で、びしっと決まっていたら。
あとは、完璧さを反復するだけ。
せいぜい、色が変わるくらいで、非常に安定した、裏を返せば、ダイナミズムに乏しい作品が、生まれていたかも。
しかし、やみくもに外せばいい、というものではない。
たとえば、なんとなくだが、15インチや16インチはないな、という気がする。
そこを外すと、違う話になってしまう。
僕の書く物の、絶妙に中途半端なスケール感を保つには、13インチ、せいぜい、14インチでないと、矛盾してしまう。
また、AppleシリコンでないMacBookは、廃版だし、手違いで頼んでしまった初代はともかく、今さら、意図的に、JIS規格以外のキーボードを発注するのも、わざとらしい。
したがって、チップと言語の二点は、確定。
条件から、除外して、残るは、三点。
シリーズ。
インチ。
容量。
とはいえ、Proの13インチの256GB、も、既にない。
本家本元、Airの13インチの256GB。
ややひねって、Proの14インチの512GB。
さらにひねって、Airの13インチの512GB。
選択肢は、三つに、しぼられた。
が。
…ここまで、二台、外しておいてからの、王道回帰というのは、なんと言うか、終わってしまう。
栄えある初代で、Intelのアメリカンキーボードを引き当てた時点で、物書きとしての僕の行く先は、かなりの程度、定まってしまった。
生涯、13インチの256GBのMacBook Airを、買うことはないだろう。
となると、13インチのMacBook Airであれば、512GBに変えたところで、見た目は、同じ。
小細工の分だけ、労力もお金も、無駄。
では、ずばり、次代以降のMacBookは?
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
MacBook Pro、14インチ、512GB、Appleシリコン、日本語キーボード。
iPhoneのProシリーズ、スタンダードサイズ、256GB、と同様、反復継続するべきスペックであると同時に、僕の文体、そのもの。
…バレたか。
ついに、晒してしまった。
がっくりと、肩を落として、天板の上、鎮座する愛機たちを、見やります。
どんなに隠そうとしても、正体は、いずれ必ず、暴かれるものです。それでは、また。