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千文小説 その1155:モットー
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
細かい文句を言いつつも、13インチのMacBook Proを、手放さない理由は。
…文字通り、でしたね。
手が、放さない。
キーボードとトラックパッドの組み合わせが、僕の手には、よく合うらしい。
iPhoneやiPadで、他のキーボードを、試してみたのです。
市販品から、Apple純正まで、白かったり、黒かったり、結構な数を。
いずれも、残らなかった。
単純に、キーボードだけでは、駄目みたい。
と言って、マウスというのは、僕は、苦手。
利き手が定まらない、スイッチヒッターであることもあり、常に、片側に置いておかなければならない丸いものは、場所ふさぎでしかない。
ぬふふーん。
ぐふふーん。
とてとてとてとて。ちりんちりん。
先代の、IntelのAirは、その名の通り、薄型。
キーも、パッドも、硬い感触で、とにかく、薄くて軽いのが、身上。
短時間なら、大丈夫。
でも、毎日数時間、となると、ちょっと、きつい。
というわけで、今代の、13インチのProが、選ばれました。
誰に?
僕の手に。
僕本人としては、別に、いつ買い替えてもいい。
Airでも、Proでも、構わない。
だが、僕の手は、かなり、頑固者。
Proが、いいの。
Airじゃ、駄目なの。
…そうかい。
iPadに、Magic Keyboardを付ける、とかでは、嫌かな?
嫌なの。
MacBookが、いいの。
…わかったよ。
お高いけれども、仕方ない。
今後、MacBookのシリーズは、Proで、確定。
今代よ、どうか、長保ちしてください。
とてもとても、頻繁に買い替える資金は、ございません。
よろしくお願いします。
頼りにしております。
るふふーん。
もふふーん。
とてとてとてとて。ちりんちりん。
…と、ようやく、解決を見たか、となった矢先。
13インチのProの、Touch Barの表示が、不安定になりました。
今回は、点いてる。
今回は、消えてる。
立ち上げるたびに、どきどきして、しかし、作業に、支障はない。
あれ?
ファンクションキー、要らない?
そうなのです。
Touch Barが、表示されていようが、非表示だろうが、全く困らない、ということは。
僕は、ファンクションキーを、使ったことがない。
今後も、おそらく、使わないだろう。
…ということは、僕にとっての、キーボードとは。
Touch Barの両隣、エスケープキーと電源ボタンにも、一切触れていないので、その下。
五段にわたる、日本語を入力するのにどうしても必要な、文字と数字と記号を打ち込むキーがあれば、それでいい。
むふーん。
ぽてっ。
ほわま、ほわま。
はいはい、ただ今。
なわばりの見回りを終えて、座り込み、抱っこをせがむ愛猫の声に、立ち上がり。
ぽさぽさの、青緑色の毛皮を抱いて、しばし、床を歩きます。
むしろ、肝心なのは、トラックパッドの存在ではないか?
キーのみのキーボードだと、やや、身体に近い位置に、置くことができる。
しかし、トラックパッドを搭載していると、その幅の分だけ、遠ざかる。
加えて、キーのみなら、手首に合わせて、傾斜を付けられる。
しかし、トラックパッドが備わることにより、両者、真っ平に配置しないと、かえって、打ちづらい。
その距離と角度が、大事なのでは?
変な気遣いは、無用。
どかーんと、べたーっと、ただ置いてくれれば、それで、いい。
両手が、そう言っている気がして、…なるほど。
頭で考えて、良かれと思った配慮が、仇になることが、あるんだな。
というのも、先代のAirは、今代のProと比べて、手前側が、薄い。
トラックパッドの周辺が、わずかに、滑り台になっていて、手首への圧迫感が、和らげられる仕組みになっている。
かのように見える。
が、実は、おそらく、違う。
打ちやすさのためではなく、ボディーの厚みを切り詰めることで、価格を削減しているのだ。
なるほどな…。
身体は、まことに、賢い。
使い勝手のための配慮なのか、市場における大衆への忖度なのか、その違いを、正確に感じ取り、こうして、はっきり、意思表示する。
僕の脳より、僕の手の方が、よっぽど、わかってるね。
すみませんでした。
もう、AirかProかで、迷いません。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
気持ち良く寝落ちした愛猫を連れて、炬燵へ戻り、大きなおしりを、ひよこの毛布でくるんで、膝にお乗せし。
天板の上、静かに横たわる、薄灰色のノートパソコンを見やります。
腐っても鯛、13インチでもPro。
売れなくても物書き、をモットーに、これからも、愛機とともに、一歩ずつ、精進いたします。それでは、また。