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千文小説 その1147:掬救
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
MacBook Air、スペースグレイ。
MacBook Pro、シルバー。
次代のノートパソコンは、そのいずれかを、小さいインチの、最小構成単位で。
お金のことを、脇に置いて、どちらでも、好きな方を選びなさい。
言われた場合、では、どちら?
こればかりは、僕が決めないと、仕方ない。
のか?
完全に、自分の意志だけで、何かを行なうことは、可能か?
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
物書きにとって、とりわけ、インターネットライターにとって。
ノートパソコンは、メインの執筆機器であり、日々共闘する相棒。
あだやおろそかに、ほいほいと、決められるものではない。
しかし、逆に、毎日毎日使うものなので、あまりにも、気合いが入り過ぎていると、大変、使いづらい。
MacBookは、AirでもProでも、性能は、保証されている。
よほどの中古品を、正規でないルートで手に入れるとかでなければ、はっきり言って、どちらでも、変わりはない。
…だからこそ、迷うんだよな。
どうしても、俺のMac、みたいな主張を、したくなる。
冒頭の、どちらを選んでも、その選択には、僕の、強い好みが乗ってしまう。
もう少し、ゆるめたい。
ほんのわずかでいい、偶発的な要素が、欲しい。
ええ?
そっち?
意表をつきつつ、しかし、妙にしっくり、なじむ感じ。
炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンのメンバーとなる、次代のノートパソコンは、どれ?
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
膝の上、大爆睡の愛猫に、ひよこの毛布を掛け直して差し上げつつ。
天板の上、静かにたたずむ愛機たちを見やって、呻吟です。
なぜ、こんなにも、MacBookの次代について、悩むのか。
そして、なぜ、同じところを、ぐるぐると、行ったり来たりするだけで、実際の購入に、結び付かないのか。
答えは、全て、今代の、13インチのProが、握っている。
先代の、IntelのAirに関しては、バッテリーの寿命まで、そのまま、そっとしておくということで、落着しました。
iPhone7、無印の第五世代のiPadとともに、初代Apple三兄弟。
第六世代のiPod touchを加えて、OSの期限が切れた四天王。
今後、どれほど代を重ねようとも、この四台は、炬燵から、降ろさない。
それだけ決めて、いざ、MacBook。
Proシリーズ、13インチ、256GB、スペースグレイ。
SIMカード入りの今代、iPhone14 Pro、256GB、ディープパープル、と並ぶ、文字通り、なくてはならないメインデバイス。
…ではあるのだが、なぜか、僕は、このところ、逃げ続けている。
どうにか、理由をつけて、一日も早く、買い替えたい。
思いつつ、この原稿を書いているのは、矛盾でしかない。
何が、いけないのか。
がっぷり四つに組んでは、あっさり投げ飛ばされることの繰り返しで、疲れ果てた。
いいじゃん。
動くなら、それで。
OSも現役だし、四の五の言わず、がんがん、書きな。
いらだって、投げ出したくなるのを、ぐっとこらえて。
もやもやの原因を、あくまで、物理的観点から、探ります。
もめるには、必ずや、理由がある。
そして、その理由は、僕の身体とMacBookの機体との、絶妙なかみ合わなさに拠って立つ。
初めは、Touch Barのせいだ、と思った。
実際、購入後三年近く、未だに、慣れなくて、なんとも、据わりが悪い。
しかし、ちらちらするなあ、と言いながら、こうして、毎日、書いている。
絶対的相性最悪、というわけではない。
最後まで、どうにもならなかった、iPhone12 miniや、無印の第九世代のiPadとは、違う。
違うのだが、やはり、どこまでも、愛しかない、初代Apple三兄弟や、iPhone14 Proとも、同じには、できない。
独特の、ぎりぎりの。
黙っていようかな、摘発しようかな。
降りるに降りられないブランコに、手を真っ白にして、しがみつき続けているような、危うさと疲弊感。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
だが、直観は言う。
ここで、放り出してはいけない。
どんなに苦しかろうと、すれすれのところまで、耐え抜いて。
そのつど、必要なだけのアプリを、必要なだけの分量で使うことを徹底すれば、やがて、驚くほど、開けた場所に出るだろう。
…占いか。
これがまた、よく当たるんだよな…。
もはや、信じるより他に、打つ手はない。
しばらく、いかなるMacBookも、買いません。
今代の、13インチのProに、焦点をしぼろうと思います。
ものすごく寡黙で、粘り強く、真の意味では、決して心を開いてくれない愛機を、浮かし掛けのように、すくい取りたいです。それでは、また。