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誰がための変身。

幼い頃、
ヒーローになりたかった。

日曜朝、仮面ライダーを見ていた。

買ってもらった変身ベルトに
薄緑色のタオルケットを羽織り、
見えない敵と戦った。

中学、高校生のときも、
ニチアサを見ることはなかったが、
「次のライダーは〇〇モチーフなんだ」
などと軽く情報を追っていた。

特に好きなのは、なんていうとめちゃくちゃ悩む。

城戸ナイトも好きだし、
ファイズアクセルフォームも、
あと、自我を失うデメリットのある系統が好き、
ハザードフォームとかファングジョーカーとか。
(この辺りは伝わる人に伝わればいいです)

それでも、自分の中のヒーローとして挙げるなら、

仮面ライダーオーズ、火野映司(渡部秀)。
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/1070火野映司 | 仮面ライダー図鑑 | 東映平成仮面ライダーシリーズに関連する映像作品に登場した仮面ライダー、変身フォーム、怪人、アイテムを解説、紹介しています。www.kamen-rider-official.com



(以下ネタバレ含む)
仮面ライダーには、毎年テーマやモチーフが存在する。
2010年、オーズのテーマは「欲望」
子供向けのテーマではない。
変身アイテムも、メダルを使用する。

主人公、火野映司は、

「少しの小銭と明日のパンツがあれば良い」

と、かなり無欲な性格を持ち、
世界中を放浪する21歳。

根っからのお人好しで
出会ったばかりの人でも
命を賭けて守ろうとする。

各国で多様な人を見て、
多額の寄付をしながら、
紛争地帯を回ってきた。

オーズは、
物語中盤まで、主人公の素性が明かされない作品でもある。

少しずつ、素性が明かされていく。

紛争地帯のとある村にて、
最初に仲良くなった少女を
空襲で目の前で失う主人公。

彼も人質になるが、
自分だけ身代金を支払われ、帰国する。

実は、彼は政治家の息子。

内戦に巻き込まれながら、
村を守ったヒーローとして美談にされ、
親の人気取りに使われる。
これをきっかけに段々と無欲な性格、自己犠牲になってでも人を守るようになっていく。

子供には、中々伝わらない話であると思う。


ただ、手が届くのに手を伸ばさなかったら、
死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ。それだけ。




人が人を助けていいのは
自分の手が直接届くところまでなんじゃないかって。
俺は...こんぐらい。
まあ、届かないこともありますけど。
欲望だとしても、こんぐらいなら手に負えますしね。


手が届くところまで、手を伸ばす。

そんなヒーローになりたかった。




2022年が
もうすぐ終わる。
1998年生まれ、現在24歳の私。
ニチアサにテレビをつけると、
2002年生まれ、年下のイケメンが変身して、世界を守っていた。

私は変身ベルトを持っていないし、
変わりたいと思っても、中々変われない。

「なんでもいいよ」が口癖の私は、
無欲ではなく、優柔不断なだけだった。
火野映司のようには、なれなかった。



自分のことで手一杯。

「ひとのために」なんていう崇高な理由は一切ない毎日。

「ひとのために」と頑張っている人が確かにいるんだ。
自分の何倍も努力してる人。

一方、
いつも、自分。自分。自分。

自分のため。

自分が理由。

それが自由か?

手一杯の自分。

それを豊かさと呼ぶのか?

不安、時間、自由、疲労、悩み。
見えない敵と戦い続ける日々。


言ってしまえば、
本当にやらなければいけないことは意外と少ない。

言ってしまえば、
研究も投げ出せる、退学も留年もできる。
「人のため」の研究。

それをやるのが「自分でなくてもいい」

それを承知でやる。

手を伸ばす。
手が塞がってるなら、足を伸ばす。
届け。
足も塞がってるなら、ことばを飛ばす。
届け。

変わること、できるだろうか?


誰がために。


変身。


なさのや



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