【孤独の、『其れ』】
孤独を語るのは
簡単ではない
反対に
喜びを語るのは容易だ
喜びはすぐに弾け
すぐに拡散していく
喜びは、それでも
はたと見ても、其れと分かる
孤独はどうだろう?
水面へ一滴だけ垂らしたインクのように
鈍く波打ち、形も歪に広がってゆく
そして、いつの間にか、一体化したように見える
だが、それは無くなったわけでは無い
融合しただけのことだ
いずれ何十滴、何百滴、何千滴と滴れば
やがて比率は逆転し、全てが呑み込まれてしまう
透明だった水は
様々な色が混じり合い、やがては黒となる
此の色こそを誰かが【孤独】だと言うかも知れない
しかし、孤独とは
その黒の中の、それぞれの色の事だ
黒くなった以上、赤が入ったか?青が入ったか?
誰にも解らない
本人にさえ、決して解らないこと…
其れこそが【孤独】を簡単に語れない理由だ
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