課長のはじめ方。
社員数約1000人の会社で、課長になってから10年が経ちました。
課長になったとき、私は38歳でした。
部下は、そのとき30人。それまでの上司が定年になり、その上司が私を推薦して、私は課長になりました。
課長になったと同時に、現場の責任者になると、私はそれまでずっと感じていた組織に対する不満や不安要素を取り除くために、個人面談を増やしたり、色々な仕組みを取り入れていきました。
当時、特に力を入れたのが「役割の明確化」でした。
それまでは一番古い社員が難易度の高い仕事を抱え、あふれた物を二番手がやり、その二番手が持ちきれなくなった物を三番手から五番手がやる。というような状態になっていました。
それだと、二番手以降の社員は、いつどんな仕事が降ってくるのかが読めませんし、ずっと「やったことのない作業」のまま時は過ぎてしまいます。
改善するために私は、全ての作業を並べ、全てに「これはA担当の仕事」「これはB担当の仕事」「これはC」「これはB」「これはD」と作業担当を決めていきました。そして二番手から五番手に、「あなたは今月A」「あなたは今月B」と割当てました。社歴の長い一番手には担当を割当てず、教育とサポートをお願いしました。
担当を明確にすると、責任と覚悟が生まれました。そして、突発的な仕事がどの担当に行くのかが想像できるので、安心が生まれました。
作業の全体量は変わらないのに、少しずつ余裕が見えてくるようになってきました。これまでは、作業や依頼がこちらに向かってくると、全員が全員、守備体形で構えていましたが、向かってきた物の担当者以外は構える必要が無い事を知ったのでした。
私が課長になってから、色々と精力的に変えていきました。さら地に、塀や建造物をどんどんと建てていったようなイメージでした。経営陣からも大いに評価されました。でも一部の役員からは、「さら地だったから活躍が目立っただけだよね。やり切った後に、なさじがどうしていくかが見ものだね」と言われました。
たしかに、二年ぐらい経つと、行き詰まりを感じ、方向転換を考えるようになりました。
塀が必要なとき、必要でないときがあることに気付き、今度は、それらをどんどん壊し始めたのでした。
〈つづく〉