突然の展開。
火曜日。暴風雪の影響で公共交通機関は地下鉄を除きほとんどがストップ。
何人も出勤出来なくなって、ギリギリの人数で業務をこなすことになった。
午後になり、「バスの運行が止まり始めている」という情報が入り、さらに一人帰すことにした。
一人何役もしながら、何とか仕事が落ち着いてきた頃、他の担当をしている部下のSさんから「ちょっとよろしいですか」と声をかけられた。
朝からの慌ただしい時間をくぐり抜け、私はまだ息が荒かったかもしれない。
「今後の動向についてお話を伺いたい」と切り出されたので、このプロジェクトの見通しと、Sさんにはそれにどう関わってほしいかを説明した。
すると、Sさんはおもむろに封筒を出してきた。
「え?いつ? いつ?」
突然の展開に頭が回らないながらも、それが退職願であることには、瞬時に気づいた。
まったく、そんなそぶりはなかった。
まったく気づかなかった。
このnoteで書いた、このときのうちの一人。このときから、うちのチームに入っていたSさん。
今はのびのびと活躍されていて、今年の色々な計画のキーパーソンとして私は考えていた。
家庭の都合でどうしても転勤できないことと、移り変わりの早い、このIT業界についていけない、という思いから、異業種への転職を決意し、転職先が決まったのだという。
「なさじさんには、本当に助けていただき、居心地も良かった。本当に感謝しかありません。」
そう言って、頭を下げた。
そこからは、悲しい気持ちを抱えながらも関係各所への報告や後任者の調整に走り回っている。
今日一日で、ある程度必要な調整は終えられると見込んでいる。
困惑と悲しみと、少し怒りのような感情を秘めながら、今日も走る。
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