ポッケからするめいか⑩-1
しょうさんはかつて、猟銃が趣味だった。
40年近くやっていただろう。
20代の頃、仲の良い友達に誘われて始めました。
狩猟には、シーズンがあり、だいたい年末から春にかけて山へ泊まりがけで出かけていた。
よく訪れたのは房総や福島。
猟銃仲間と現地で合流し、馴染みの民宿に泊まっていた。
猟で射止めていたのは雉。
獲った雉は民宿へ帰ると女将さんが調理してくれて、晩には雉鍋を囲んで仲間と酒を飲んだ。
しかし、しょうさんは鶏肉が苦手。
何匹か射止めて家へ持ち帰っても、雉が好きな親戚や友達に配って、自分は食べなかった。
ちなみにしょうさんは酉年です。
しょうさんは銃を辞める10年ほど前からは射撃に転向しています。
なぜ転向したのか?
しょうさんは猟友会に入っていたので、駆除活動にも時々行っていました。
猪や鹿、熊。
それらは鳥と違い体が大きく、仕留める際は身の危険を感じるほど本当に怖かった。
そして一発では敵わず何発も撃たなければならず、、、
もがき苦しむ姿を見るのは正直辛かった。
何十年も猟にいきながら、今更ながらもう生き物は撃ちたくない。
そう思ったので射撃に転向した。
今度は飛んでる鳥ではなくお皿を打ち始めたしょうさん。
小さな大会でしたが3位に入賞するまでに当時は上達していたほど。
そしてなぜ銃を辞めたのか?
辞めたのは今から10年前、3.11がきっかけです。
しょうさんの家は東北から離れたところにあり、幸い避難するほどの被害はなかったが、
震災後の空き巣被害をニュースで見ては、
もし自分の銃が盗まれたら、
もし弾が暴発したら
と考えるようになった。
おまけに自分も還暦を超え、泊まりがけの猟はもう行くことはない、
転向した射撃ですらにも正直、かったるく感じ始めていた。
今まで十分、銃を楽しんできた。
もうそろそろいいだろう、と自分の中で折り合いをつけ、銃を手放した。
しょうさんは一度決めたらキッパリ辞める。
未練はない。
タバコも同じ。
かつては愛煙家だったが、今日、今から吸うのを辞めると決めたら絶対に吸わない。
次回は、また銃の続き、猟犬について話。