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ポッケからするめいか40

やもりみゆき



しょうさん家のお風呂場には窓がある。


その窓にヤモリが現れるようになってかれこれ数年経つだろう。


ヤモリは昔から一説では、
“家の守り神”
として、

家に出ると安泰とかなんとか言われている。

だからヤモリを見かけても、退治はせずに放っておいた。


毎年夏から冬になる前まで、
夜になると、
ほぼ毎日窓ガラスに引っ付いていた。


初めは一匹だけだったが、
今では計三匹見かける。


夏の初めにぷっくりとお腹の大きなヤモリがいたが、
いつの間にかスリムになっていて、


いつの間にかちっちゃなヤモリがそばをうろつくようになっていた。


出産したのだろうか?



初めはお風呂場の窓だけにいたのだが、

今では寝室の窓、

台所の出窓、

トイレの窓、


いずれも家の裏側の木々が生い茂っている面の窓に出没している。


ミキさんは、
特に寝室に出没するヤモリを毎日見ていたら、

愛おしくなってきたようで、

今では、

井森美幸さんの名をもじり、

“やもりみゆき”と名付け、


“みゆき”

と呼んでいる。



この“みゆき”


三匹いる。


全員“みゆき”である。


今日みゆきいた?


みゆきが寝室にいる。


トイレにもみゆきがいるよ。


毎日、
“みゆき”の名を聞かない日はない。


なぜ窓に出没するのか?



窓越しの部屋の明かりに反応して小さな小蝿や虫たちが来るから、


それをねらってみゆきたちも待機している。


じーっと同じ体制で動かないみゆきが、

獲物を見つけた途端に、

素早く窓を張って舌を伸ばしてゲットする。


その場面に出くわすたび

ミキさんは、

みゆきがご飯食べた!と興奮する。

何枚も写真に収めるが、


手ブレは当たり前で、ピンボケの写真を

いつも娘さんたちに見せている。


ちょっと天気が悪い日なんかに1日でも姿を表さないと、


みゆきがいない!

どうしたんだろう?

死んじゃったのか?!


と大騒ぎで、

わざわざ家の裏まで見に行く。


庭に小さなバッタや虫を見つけると、、、


それをみゆきのいる窓へ持って行き、
差し入れするミキさん。


みゆきはしょうさん家の家族。

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