川柳108句『煩悩しか勝たん』
本棚の総体として掘り起こす
果物を擦る振りする伝道師
黒電波を消す練習しか勝たん
箪笥から見上げてみれば足音が
駐車場から始まったランキング
目蓋なく塔の建設が足りない
オカピの眼鏡に牛耳られた
断罪したらお腹こわした
スマートな問題集に媚びている
任侠を漬け込みすぎて辛くなる
湿り気を帯びた理を燃やした
蘊蓄は解体されて捻じ曲がる
飛行機が通り過ぎれば月割れる
さあ謳え!境目からのデコピンを!
可笑しみのペダントリーを投げますね
急速に疑問を持って悪ふざけ
組み替えてキーワードから始末する
事典との共同体を解散す
神々に押し込められて村八分
気まぐれに絶滅させて配慮する
腕輪から転落したら長丁場
望んだら神話化されて散歩した
旅人は狂想曲を聴き込んだ
日曜日の献立表を抹消
眉毛からうねり続けた現代語訳
予告され位牌を買って探索す
嫌われた黄色いの衣まで巨匠
木製の呪術を置いて泣いていた
入れ子状となっておくれユダの窓
きな臭い元素を抱いて形成す
文明の制約のもと流浪する
ありえない輪切りばかりが並んでる
夕映えにお呼び出しされ目論んだ
始祖鳥に後ろめたくて寝転んだ
窓拭きが固定観念を越境
無軌道に憑きもの落としを請け負う
息吹から思い描いた悪人よ
不躾な田園ばかり拡張す
人間のクズと呼ばれるマクガフィン
自動付与された定義と価値観よ
初期不良によりとぼけた丑の刻
御神籤の総体的な意識論
論争でサワークリームが発生
失った先に映画化される牛
駆逐して喪服を羽織り閉じてゆく
絡まって生存率を計算す
泥に縄、泥と棒、なら、泥より団子
合法的な簡易融合
絹さやの連載終わり飲み込めた
仕掛けって 時計・ねじ巻き・叙述 かな
まんまるを強調したら阻まれた
駆け込んで背景隠し折り畳む
あと四人求めることもできました
幸せを撮影しつつ首捻る
温めた卵は既に美しい
怪物と動画配信の演出
洞窟には濡れそぼった映画館
非友好的な老いた童話
朝ぼらけ誤訳誤植の現実感
変色し武装している活字たち
細部から断じてみれば普遍的
現在は似たもの動詞戒めた
ボタンすら「Start」「Reset」同時押し
回廊に回想される悪いクマ
十二度でアーサー王を照らす月
無意識に冷えたベンチは動き出す
看板を秘境の中で描き上げる
縮緬を押し殺しても侵食す
特徴は裁判長の解剖図
見取り図を棺の前に置いてみる
荒れ寺に逗留すればオスマントルコ
虎狩りの最盛期より腐敗した
忘却のピカレスクなら復讐を
殿下から勘当されたルーレット
烙印を押して押されて第四位
陽が暮れてエピゴーネンは失踪す
厳格な保証するからノーマーク
期待して呪われている雨の傘
化け猫に逆恨みされユーモラス
ダイニングソーセージよりウィンナーだ
産毛剃り眉毛を剃れば割れる爪
語り手が一方的なエルム街
特定のアライグマなら社会的
諌められ好意を寄せる危険性
熱心に余計なことで戦慄す
因習の求めに応じ肩外す
楽しくて一人相撲で没落す
無害から絶縁された絶頂期
雰囲気をファイリングしたクジラたち
春雨に失踪されて希釈する
特典を屋根の下にて育んだ
レコードに翻弄された虫眼鏡
電気より対局中の無垢な人
落雷を食べ迎撃に涙する
遊戯との理由付けからノックする
眼差しで崩れかけたら運動不足
葡萄からエアロバイクと夢想する
伝令の影に隠れた塗り壁よ
ねっとりと存在感に鉋掛け
奥行きを蹴るためだけに産まれ出た
納豆に鷲掴みされミレニアム
コーヒーが数ページずつ滴りて
構図決め滞在したらバガナンス
立ち去って疑われたら羽目外す
チェキ撮って資本主義へと立ち向かう
湯を沸かしヒヨコが出ればほのぼのす
咳払い緑魔が香る交差点
煩悩のフラペチーノは売り切れた
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