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川柳20句『瓦礫から夜』
太陽にコインを投げた外交官
十三秒先の重力を見逃す
境界は解像度の低い光
今までの水滴の数は忘れなさい
踏切に生殖体を見る午前四時
ブレーキにハツカネズミがついてくる
不揃いの額縁はただの友達
関節にアロンアルフアは届かない
眼前で指をさされて意識不明
左肩 16ポンドの雑踏
ド屑はド屑(繰り返し)海星は海星
雨は止み残響は止み人絶える
刻まれた地図のようには戻せない
同位体 昔のように眠りたい
秒針の代替品が消えていく
飛び込んだ どことは言わず 飛び込んだ
イースターワインを覗く世界線
体躯から苔を掻き出す本格派
ドップラー効果の◯と愛し合う
瓦礫から夜の匂いを盗み取る