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川柳大晦日108句チャレンジ

読めません山に登っても読めません

場違いで拝借されたパンケーキ

囚われたミルクのそばで鈴が鳴る

スパイの息子の水掻きは2センチ

綿棒と猫じゃらしとの入刀式

一目置いており前髪は伸ばし気味

幻の路線は苦味って証

通るたび黙殺される暗闇坂

瓢箪は達観しても俯瞰した

なんとか的と言えば死体置場に

縞模様の童話を聞く操縦士

ヘンテコな防腐剤まで法遵守

へし折るために小出しにすれば

寝室に算定されたピアノ線

葬列の遠く彼方の雪だるま

確率で喩えるならば馬鹿野郎

タクシーが読みにくくても伝統芸

難しい字だともう死んじゃうよ

適当に昼を伸ばして棲んだ村

狸汁にされないよう分析を

きみは分裂し共喰いし元通り

種子島の遺伝子から送り出す

テレスコープに観測を促した

縦読みしても変わらないでしょ

キティーちゃんとのゆうごうしゅじゅつ

弾倉にメタファー詰めた仮神父

ディックから教えてもらう五重塔

言語一般的にマシュマロは生物

逃げ出した先にある鉱石ラジオ

とても良いよくなくない四分間

入れ子状の示すものに幹の傷

電波塔 それでも蟲は濁って

地面の味は忘れても良い

ヘモグロビンと自由落下で

落ちるルーツにタペストリーを

螺旋状のホールデンは石である

灯台を売買できる吊るし首

蒟蒻を総べる者からひかりだす

消耗品のお墓は此処だ

13号地に靴音なく

日常の謎を釣り餌にかかる髭

フーッと吐いた鎖帷子

残酷と言われれば砂場も同じ

ぼろぼろの翼が生えた野良案山子

名刺には「天使です」とか書きなさい

海である ヤコブがいても海である

ぼんやりと馬に尋ねて畳まれる

水死人は薔薇の香りをしていた

親指のアップデートはまだですか

逆回転をする時の編み方は西

檸檬の中の象を取り除く方法

毛並みから眠るためだと知りました

蟷螂に零をまぶして祈ります

防水性の心的刺繍

寄り目して虎柄になりなさい

信用されず顎が削れた

マルクスと交換すれば共犯者

墓標には鏡文字さえ映らない

回路図に従い続け丸くなる

夜更けならフォークの神話も湯がける

山椒の王朝目指し折った指

教科書の四隅に湧いたポップコーン

学校の匂いだけでは帰れない

攣りあえばニンゲンはニンゲンでない

贈与論におけるふるさと納税

パジャマからモンテネグロの音がした

嫌われる有機化合物は三つ

向いている顔の真贋さえ不明

スルーするスルーしてまだスルーする

断章と罵り合いをしたかった

選集に漏れたお前は誰なんだ

白目か黒目か複数の信者による

靴下の淵に座ったサトウキビ

未来からわざわざ手紙のやりとり

腰パンと肩パンの不毛な喧嘩

瞼の裏のようにマジしつこいよ

あとがきに「肉」とただ書いてあるだけ

ひしひしと油脂皮脂がもう並んでる

換気扇をつければ倫理が歪む

フェルメールの目玉焼きは何色だ

倒立してる行動原理

けだもののフュージョンはもう少女かも

最後のひとりさかさ心中

批判的夜明けがほしいお年頃

口笛の庭園めがけ手毬つく

喜劇の中のスイマーは嘘

レンブラントの実況の記憶

ある晴れた残響の年に棲むケーキ

花びらを語る者から赤くなる

隠し部屋にない苦悩と狂気

納豆の発掘調査で捕まる

うたた寝のコレクションだと早かった

走馬灯に追い越されたシルエット

コンプライアンスの茶漬けを啜った

ポチ袋が笑い袋に変身

白昼の多量のパセリが伏線

模様にしても切断される

無自覚ながま口が窓に駆け寄る

じゃがいもの特殊スキルを受け継いだ

標識の象だと思う 不死身です

文学上決まった時間には落下

木片の敗者復活戦が先

審査員の聖地だった 迷惑だ

銀杏を落としただけの猿芝居

巾木から飛び降りるため仮眠する

バイパスの血縁であり後継者

ちょっとしたひょっとこだけがしょっぱい

あひるのかげとひかりからかりませう

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