2024年10月の記事一覧
川柳10句『はっぱ隊』
焼き海苔の落ちる音して明日となる
運命に左右されない上下運動
無条件という条件を出す肉袋
複雑さに弾かれたピースは八つ
切り裂いた 布だったら良かったのに
何度目の何万回目なんですか
疼くのがTPOで異なるの
エスカレーターに良く似合う海老
連射されるボタンの気持ち 分かります
またはっぱ隊に宥めてもらいなよ
川柳10句『マイティジャック』
文豪を蒸気機関車に喩え出す
京王線にサイコロを乗せていく
トイレから出られなくなった天狗とは
和室から失踪しても改変される
国別の人工心臓も軽くて
ゾルゲ事件に温泉卵だけ付ける
ナシゴレンの葬送のため閉じた門
ほんとうのマグネシウムと漂った
地下室の宗教日記から脱皮
マイティジャックのささくれと近代史
川柳10句『観察記録』
遊星のフレーバーだと軽傷です
爽やかだ 白線を遠くに見てる
祝日の拗音にみるしたたかさ
入門書傑作選の融点は
理髪師に閉じ込められた絵物語
缶詰の行間を読むトイプードル
ダビデとの距離感をただ保つ
監獄で語り明かした右手左手
神々のピストルでさえ光らない
電柱の観察記録
川柳10句『星雲のチェ』
さすられて眠りについた御惣菜
土踏まず豆腐を乗せて よっこいしょ
もやもやもへったくれもないさとうきび
脂から飛び立つこともありました
誰も知らない穢れた腹筋
クセのある喫茶店だと朗読して
当時から靨があったホタテ貝
終わりに向かいエラ呼吸してもいい
読書会に青い鳥を持ち込んだ
星雲のチェ・ゲバラにみる可動域