禁酒中なので、ビールを飲む小説を書いて心を落ち着かせる。
タイトルの通りに、以下は酒が飲みたいという欲求を抑えるために書いた小説だ。
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仕事からやっと解放された金曜の夕方、僕は居酒屋に向かっていた。疲れてはいたが、足取りは軽快だ。出社する前、電車に乗っている時から、僕は決めていた。今日は唐揚げとビールを腹いっぱい食うと。
店にたどり着き、引き戸を開ける。店内はにぎやかな笑い声に包まれていた。
「いらっしゃいませ!」と元気な声で、店員さんが迎えてくれる。
ほとんど満席だったが、ちょうどカウンター席の客が帰るところだった。助かった。
僕は座りながら、唐揚げの大盛りと生ビールを注文した。店員さんがおしぼりとお冷と、それから小鉢を僕の前に置いた。「こちら本日のお通しの枝豆です」と、店員さんは言った。
唐揚げが来るまで僕は、枝豆を軽くつまむ。枝豆は、ほんのり塩味が効いていた。汗をよくかく夏には、こういう塩味の効いたものが良いんだ。
先に運ばれて来たのはビールだった。僕は迷った。どうする。枝豆とビールで始めるか……それも全然アリだ……塩味の効いた枝豆とビール……合わないはずがない……いや、待て待て、落ち着け自分……今日は唐揚げとビールと決めていただろう。
しばらくして、大皿が運ばれて来た。
来た来た、待ってました。山盛りに盛られた唐揚げだ。
揚げたての香りが立ち上っている。これはたまらん。
僕はジョッキを持って、ビールを喉へと流し込む。く~っ、と声を上げたくなる旨さだ。ビールはよく冷えていて、喉ごしも最高だった。
さて、唐揚げだ、唐揚げ。大きな一つを箸で掴み、口に運ぶ。はふはふ。口の中が火傷しそうなぐらいに、熱々だった。そして衣はカリッと揚がっていた。一口食べると、中の鶏肉は柔らかく、肉汁がこぼれる。
唐揚げを食べ、ビールを飲み、また唐揚げを食べる。僕はそれを永遠と交互に繰り返した。そしてビールがなくなれば追加で注文する。唐揚げ、ビール、この旨さだけが、一日の疲れを忘れさせてくれた。