140字小説まとめ【1】
天使と悪魔
昔々あるところに、悪魔と友だちになりたい変わり者の天使がいました。天使は黒いペンキで自分の羽を真っ黒にして、悪魔の家に遊びに行きました。家のドアを勝手に開けると、悪魔がちょうど羽をペンキで白く塗っているところでした。2人は「へんなのー」と笑い合いました。
棺職人
父は前衛的な棺職人で、変わった棺ばかりを作っていた。宇宙葬用の棺や水葬用の棺など、どんな棺でも作った。父が最後に作った棺は自分用の棺で、キノコの菌糸で出来た棺だった。父の遺体は菌類によって腐葉土へと分解されていく。今年になって小さな草の種が芽を吹いた。
死んだ人と話せる電話
N博士が発明したのは、死んだ人とお話できる電話。「インチキ発明だ」と週刊誌に叩かれる中、全国イタコ連盟から営業妨害のクレームが入り、電話は飛ぶように売れましたとさ。
幸せだと思える薬
N博士が作ったのは、嫌な記憶だけ綺麗に忘れることができる薬。たくさんの人が自分は毎日幸せだと勘違いできるようになった。めでたしめでたし。
最後の一枚
少年は病院の窓から、枯れ木を見ていました。「葉っぱ、もう数枚しか残ってないなぁ。最後の一枚が散る頃、僕の命も終わるのかな」少年がそう呟いた時、「枯れ木に花をサカセマショーッ!」現れたのは、なんと花咲か爺ニンジャ。枯れ木に花を咲かせると、少年はみるみる元気になりましたとさ。