「簡単に顔に出さない」明主愛一嚬一笑
明主は一嚬一笑を愛しむ
―明主愛一嚬一笑―
[原文](十八史略 春秋戦国 韓)
吾聞、明主愛一嚬一笑。嚬有爲嚬、而笑有爲笑。
[書き下し文]
吾聞く、明主は一嚬一笑(いっぴんいっしょう)を愛(お)しむと。嚬(ひん)するは為に嚬する有り、而(しこう)して笑ふは為に笑ふ有り。
[原文の語訳]
私が聞くところでは、明君は顔をしかめることも笑うことも大事にするそうです。顔をしかめるにはしかめるだけの理由があり、笑うには笑うだけの理由があるということです。
[解釈]
「一嚬一笑」は「一喜一憂」に近い表現です。
賢明な君主は臣下に心情を悟られないよう、表情を軽々しく表さないということです。
組織内では役職が上がれば上がるほど、気に入られようと同調するため一挙手一投足を見ている人もいます。相手が自分の顔色をどのように感ずるかを考えて言動する必要があります。
トップはじめ上層部が特定の人に対し一喜一憂すると、その人のみならず周囲への影響も小さくありません。ライバルは常に気にしていて、その人が褒められれば恨み、叱責されれば追い打ちをかけるなど余計な軋轢が生じる可能性もあります。
できる人は表情に出さず内に秘めているのです。