Hard Reboot by Django Wexler (2021)
最近では英語圏のSFでも巨大ロボットを扱った作品を定期的に見かけるようになった。2021年も何作か出ており、世評ではシーラン・ジェイ・ジャオのIron Widow(則天武后をモデルにした若い女性が巨大ロボットに乗って戦うらしい。未読)などが人気らしいが、筆者のおすすめは何といってもジャンゴ・ウェクスラーのノヴェラ、Hard Rebootである。
あらすじ
感想
あらすじを一読して「ガンダムファイト?」とか思ってしまうわけだが、これは日本のアニメにも造詣の深い作者の思うつぼだろう。実際、このインタビューではガンダム派生作とコードギアスの影響について触れている。
特に意表を突いた展開はないが、キャラクター同士の関係の変化やストーリー展開が過不足なく書き込まれている。それにロボットものの緩急というのをよく心得ていて、どこでピンチに陥るか、どう逆転するかが実に自然で心地よい。まるで短めの劇場版オリジナルアニメ(たぶんウォーボットの戦闘シーンは3DCGでぐりんぐりん動く)を観たような読後感すらある。
作者のジャンゴ・ウェクスラーは専業のファンタジィ作家で、元はマイクロソフトでプログラマーとして働いていたという。エピック・ファンタジィの他にもJohn Goldenシリーズのようなテクノスリラーっぽいものも書いているが、書籍の長さのSF作品はこれが初めてはないか。アニオタとしての知見を生かして、こういう路線のももう何作か書いてみてほしいものだ。
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