鳴庭真人

海外SF紹介者・翻訳者 共訳書に『折りたたみ北京』『月の光』『ヴォネガット全短篇1~4』

鳴庭真人

海外SF紹介者・翻訳者 共訳書に『折りたたみ北京』『月の光』『ヴォネガット全短篇1~4』

最近の記事

今年の仕事

2023年はこんなSF仕事をしていました。来年もよろしくお願いいたします。 翻訳・アーシュラ・K・ル・グィン『赦しへの四つの道』補遺部分 ・レイ・ネイラー「ムアッリム」 解説・スザンヌ・パーマー『巡航船〈ヴェネチアの剣〉奪還!』 ・アダム・オイェバンジ『ブレーキング・デイ 減速の日』 ・(非商業)クリストファー・プリースト『落ち逝く』

    • レイ・ネイラー「ムアッリム」翻訳

      本日発売のSFマガジン2023年6月号でレイ・ネイラーの短篇「ムアッリム」の翻訳を担当しました。 ネイラーは前号のNovel & Short Story Reviewでも取り上げた新進作家なので、W特集とは関係のない読み切り短篇ですが、特集のついでに読んでみてください。

      • 2023年星雲賞参考候補作

        2023年の星雲賞海外短編部門の参考候補作に拙訳のティモンズ・イザイアス「さあ行け、直せ」(SFマガジン2022年6月号)を挙げていただきました。ありがとうございました。 雑誌掲載短編の場合、SFマガジンのバックナンバーを買って読んでくれ! ともなかなか言いにくいところですが、本投票も引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。

        • エッセイと今年の仕事

          昨日発売のSFマガジン2023年2月号に「SF翻訳に絶望なんてしてません。」という謎エッセイを寄稿しました。ご笑覧ください。 また同号掲載のスザンヌ・パーマー「忘れられた聖櫃——ボットたちの叛乱」(月岡小穂訳)の解説も担当しました。自分の翻訳じゃない作品の解説というのも変な感じですが、作品を楽しむよすがになれば幸いです。 今年のSF関連の主だった仕事を総括すると、以下の通り。 翻訳 ティモンズ・イザイアス「さあ行け、直せ」(SFマガジン2022年6月号掲載) ジェイスン

          ポール・トレンブレイ「最後の会話」翻訳

          来週発売のSFアンソロジー『フォワード 未来を視る6つのSF』に収録されたポール・トレンブレイ「最後の会話」の翻訳を担当しました。 トレンブレイはどちらかというとホラー畑の人で、この作品が初の邦訳となるようです。来年のシャマラン監督の新作映画「Knock at the Cabin」の原作者といった方が通りがよいかもしれません。 この作品自体はシャマラン映画とは何の関係もないのですが、予習ということでひとついかがでしょう。

          ポール・トレンブレイ「最後の会話」翻訳

          ジェイスン・サンフォード「八〇〇〇メートル峰」翻訳

          来週発売のSFマガジン10月号でジェイスン・サンフォードの短篇「八〇〇〇メートル峰」の翻訳を担当しました。タイトルの通りエヴェレスト登山の話です。8000メートル峰つながりでシモンズの「カナカレデスとK2に登る」などと読み比べるのも一興かも(話は特に似ていません)。 サンフォードは以前長篇をNovel & Shortstoryレビュウで取り上げたりもしていて、個人的にけっこう気に入っている作家の一人なので、翻訳できる機会をいただけてSFマガジン編集部には感謝です。 ゴマを

          ジェイスン・サンフォード「八〇〇〇メートル峰」翻訳

          日記

          SFとは関係ない浮世の仕事の話。 退職すると上司に伝えた。引き継ぎがあるので、もうしばらく勤務は続く。数えてみると今の職場で9年以上働いていたらしい。もうちょっとで10年の大台だったのだが。 仕事を辞めた経緯などはインターネットに書くようなものでもないので、リアルの知り合いで話す機会があれば。というか話したい。リアルの知り合いでなくてもいいけど。 とにかく6月から7月にかけては現職の仕事に加えて、転職活動、翻訳、アニメ視聴、ソシャゲの周回などで大変忙しかった。最近ようやく新刊

          ティモンズ・イザイアス「さあ行け、直せ」翻訳

          本日発売のSFマガジン2022年6月号掲載の短篇「さあ行け、直せ」の翻訳を担当しました。特集外の読み切り短篇で、『いさましいちびのトースター』の現代版みたいな話……といえば何となく察しがつくでしょうか。SFマガジンを手に取られた際はご笑覧ください。

          ティモンズ・イザイアス「さあ行け、直せ」翻訳

          Hard Reboot by Django Wexler (2021)

          最近では英語圏のSFでも巨大ロボットを扱った作品を定期的に見かけるようになった。2021年も何作か出ており、世評ではシーラン・ジェイ・ジャオのIron Widow(則天武后をモデルにした若い女性が巨大ロボットに乗って戦うらしい。未読)などが人気らしいが、筆者のおすすめは何といってもジャンゴ・ウェクスラーのノヴェラ、Hard Rebootである。 あらすじ感想あらすじを一読して「ガンダムファイト?」とか思ってしまうわけだが、これは日本のアニメにも造詣の深い作者の思うつぼだろう

          Hard Reboot by Django Wexler (2021)

          Robot by Adam Wiśniewski-Snerg (1973)

          2021年はスタニスワフ・レム生誕100周年だが、そんな年に別のポーランド人作家のSF英訳が刊行された。アダム・ヴィシニェフスキ=スネルグのRobotである。 版元の紹介によれば、「ポーランドSF史上もっとも偉大な作品のひとつ」「レムの最良の作品にも比肩する」ということなのだが、寡聞にして作家の名を聞いたこともない。さいわい『東欧SF傑作集(上)』に短篇1本と短い著者紹介が載っていた。それによると、この作品は第1長篇かつ代表作であり、「戦後30年間に出版されたSFのなかでも

          Robot by Adam Wiśniewski-Snerg (1973)

          “Project Barrier” by Daniel F. Galouye(1958)

          以前、O・S・カード「無伴奏ソナタ」の元ネタがロイド・ビッグルJrの短篇にあったという話や、ホーガンの長篇に設定の似ている古典SFの話を書いたが、今回もその路線の話。別にそんなことばかり追っているわけではないのだが、昔のSFを今の視点から読むと、そういうところについ目がいってしまう。 さて、今回取り上げるダニエル・F・ガロイ(1920〜1976)の短篇”Project Barrier”は《ファンタスティック・ユニバース》誌1958年1月号初出。あらすじは次のようなものだ。

          “Project Barrier” by Daniel F. Galouye(1958)

          Novel & Short Story Review 2021/12

          先月発売のSFマガジン2021年12月号でNovel & Short Story Review欄を担当した。紹介作品は以下の通り。 ◆短篇 ・David Moles “The Metric”(Asimov’s誌2021年5・6月号) ・Benjamin Rosenbaum “Bereft, I Come to Nameless World”(Asimov’s誌2020年7・8月号) ・Gregory Benford “A Waltz in Eternity”(Galaxy’

          Novel & Short Story Review 2021/12

          アーカディ・マーティーン『帝国という名の記憶』解説

          来週8/18(水)発売のアーカディ・マーティーン『帝国という名の記憶』の解説を担当しました。前情報の何もない新人作家ってどうにもとっつきにくい感がありますが、多少なりとも拙文が道しるべになれば幸いです。

          アーカディ・マーティーン『帝国という名の記憶』解説

          メアリ・ロビネット・コワル『火星へ』解説

          本日(7/14)発売のメアリ・ロビネット・コワル『火星へ』の解説を担当しました。前作『宇宙へ』の続篇というか、2作でひとつの大きな物語になっています。お買い求めの際はご笑覧ください。

          メアリ・ロビネット・コワル『火星へ』解説

          Novel & Short Story Review 2021/08

          もう発売されてしまったけれど、25日発売のSFマガジン2021年8月号でNovel & Short Story Review欄を担当しました。紹介作品は以下の通り。 ◆短篇 ・Randy Rubin “Joan Henry VS the Algorithm” ・Mike Masnick “Prime of Life” (ともにアンソロジー Working Futures収録) ・Yudhanjaya Wijeratne “Work Ethics”(Wired誌2020/1

          Novel & Short Story Review 2021/08

          サラ・ゲイリー「修正なし」翻訳

          本日発売のSFマガジン2021年6月号に掲載されたサラ・ゲイリーの短篇「修正なし」の翻訳を担当しました。短篇というか、ショートショートくらいの長さですが。本特集合わせということなのか、一見学術書のような体裁というひねった話です(チョイスは編集部による)。SFマガジンを手に取られた際はご笑覧ください。

          サラ・ゲイリー「修正なし」翻訳