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このお碗ひとつで"一品"としての風格が出る!陶器のお碗

織部焼は緑色!のイメージが強かったが、真っ黒の姿をした織部焼もあることを、このお碗を購入してから知った。
淡い光を放つ、墨のような色の黒い織部のお碗。マットな質感が格好良い。口縁部は赤みを帯びた濃い茶色。お碗の内側はこの濃い茶色と黒が混じり合い、美しくてじっと見入ってしまう。

直径:13cm 高さ:7cm 高台の高さ:1.8cm
汁椀より少し大きめに作られている。

高台も少し高く作られているので、片手で持っても熱くない。

このお碗をプロデュースした方に話を聞くと、高台が少し高い「呉器」や「根来椀」をイメージして作家さんに作っていただいたそう。

「呉器」・・・おおむね高さが他の高麗茶碗よりやや高く、あまり紘がらずに高台から立ち上がり、高台もやや高くしかも下に向かって開き気味。

※「高麗茶碗」・・・朝鮮半島で作られ、日本へもたらされて茶の湯で抹茶を飲むために使用され続けた碗類。

<参考文献>
谷 晃. わかりやすい高麗茶碗のはなし. 淡交社,2014, P.45,16

私は片手で持てるサイズ感がお気に入りで、小丼としても使っている。

まぐろ丼
納豆・めかぶ丼
天ぷらそば
とろろそば
ひつまぶし
うどん
七草粥

うどんや蕎麦も、一人前を受け入れてくれるところが心強い。お粥も丼ものも、このお碗に盛ると一品としての風格が出る。

けんちん汁も、これだけで良い雰囲気。


ちなみに、真っ黒な織部の正体とは……。

黒一色の織部黒と、一部白抜きがされて窓絵のある黒織部の二つがある。

黒織部
鉄を主成分とする釉薬を用い、焼成過程で窯から引き出し急冷させて黒く発色させた織部黒の地の部分に、窓のように白く残し錆絵を描いたり、文様を彫ったりしたもの。

<参考文献>
深見 悦司. やきものの事典. 成美堂出版,2004, p.56

織部黒
黒釉が一色。

<参考文献>
矢部良明・竹内順一・伊藤嘉章. やきもの名鑑[2]桃山の茶湯. 講談社, 1999, p.66


通っているお店では、今はこの器の取り扱いをしていないそうで残念。これからもこのお碗は私の偏愛器の一つだ。一つしか持っていないので、大切に扱おう。


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