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なぜ美術館に行くのか。
今年の夏、展覧会へ行った。
日本画家、東山魁夷さんの風景画と、日本の夏を描いた作品を集めた展覧会だ。
行こうと思った理由は、特にはない。
茹だるような暑さの中で見つけた、涼やかなポスターに目を奪われた。
ふと、行ってみようかな……。と思った。
無知な為、有名な日本画家さんだという事を帰ってから知ったし、心が静まるような美しい絵だな、という感想しか抱かなかった。
私、美術を観る資格がないのかも……。と思い、展覧会の感想を書くのもやめてしまっていた。
そんな時、奈良で器屋さんをしている、きょうこさんのnoteを読んだ。
きょうこさんは美術館や博物館へ行くのは好きだが、感想を聞かれると困るらしい。全体の印象を感覚で捉えていて、見終わった時に残るのは漠然とした感覚。せっかく行ったのに感想それかよ、と思われるのがずっと恥ずかしかったと書かれていた。
このnoteを読みながら、わかるわかる!!と頷きながら♡ボタンを押し、同じように感じている方がいるのだと肩の力が抜けた。私も周りで話している方のように「ここが良かったよ!」と話せた方が良いのかな、それが話せなければ展覧会の感想を書く資格がないと思っていた。
しかし最近、この問題に私なりの答えが出た。
近くの公園を散歩していたら、銀杏並木が綺麗に紅葉していた。黄色の葉が、陽の光を受けて更に輝き、公園全体があたたかい光に包まれていた。
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この景色を見ていてふと、東山魁夷の風景画のようだな、と感じた。
あぁ、誇張でもなく、きっと東山先生はあの絵のような風景を見たのだ。
今まで私の中に湧き上がったことのない感覚に驚いた。
あの時私が展覧会へ行ったという点が、後から繋がることがあるのか……。
もしかしたら美術館は、自分の感覚を広げる場所なのかもしれない。
ここが良い!とか、すごいとか、詳しい感想は他人に話せないけれど、これからも美術館へ行ってみようと思う。