春のささくれ祭~Vとの親和性はどこから生まれたか~
ささくれさんこと、sasakure.UK氏の楽曲が相次いで公開されました。奇しくもそれは、それぞれVTuberをフィーチャーして射抜いた曲になっており、なんだかこうして並ぶのがいかにも象徴的だなぁ、と思ったのでここで紹介します。
Gimme吟味virtuaる最高star!!!! feat. さくらみこ・白上フブキ・夏色まつり・宝鐘マリン /sasakure.UK
こちらは「グルーヴコースター ワイワイパーティー!!!!」テーマ曲ということで、以前からVTuberを取り上げてきたゲームではありますが、ここではホロライブの4名が登場しています。
アルファベットと漢字とひらがなが混じったタイトルから溢れ出る、異国言語感。それぞれの「らしい」言葉を各パートのフックにしながら、とにかく「気持ちのよい尺」でひたすらフレーズが積みあげられ、気づけば離脱できないループの虜に。
意味や繋ぎ目をある種無視した言葉のチョイスは、正しく紡がれたセンテンスよりもいくらか直感的に響いて、結果として「お祭り感」がどんどん上乗せされていきます。なにせサビ前の畳みかけの締めが「高揚!」ですよ。
これが詞先でつくられていたら狂ってますが、おそらく音の気持ちよさを優先させているはずで、間奏のシンセソロから、最後の最後で「Yeah Yeah」と二回重ねられるところまで、後ろの音に耳を向けてみれば、やはり「これぞささくれ節」といった仕上がりになっています。
ヨツバフォエバ / ド葛本社
にじさんじのライバーであるドーラ、葛葉、本間ひまわり、社築からなるコラボグループ「ド葛本社」。単独のイベントが組まれることもあるほど、人気と年季のあるグループになっていますが、そんな「ド葛本社」の2つ目となるオリジナル曲をささくれさんが手掛けました。
ド葛本社MUSICLIVE 2020夏~お家で最高の夏祭りSPECIAL~
初出は昨年夏に行われた上記の配信ライブになりますが、そこからさらに磨きが掛かってのリリースと相成りました。
「フォエバ」と置いてしまうタイトルセンス。男女混声を曲調が優しさのベクトルにまとめ上げていて、どことなく切なさが常に乗っかっています。疑似家族たる集まりを「家族になるように」と掬いとりつつ、その距離感を歌うサビで声が重なっていくことで、言葉が強度を増していくよう。
「ばらばらだった足音」、「ばらばらだった解答欄」、とテーマはやはりそこにあって(「バラバラのパレードは続く」のです)、だからこそ逆説的に「四葉」が「永遠」になるように、とラストにダメ押しの展開が入るのがたまらない。はにかむようにそれぞれの名前を仕込むのもまた愛嬌です。
どちらも一聴して「ささくれ節」と感じられるところに恐ろしさがあって、これらの曲たちは、まず間違いなくこれまでささくれさんがつくってきた曲たちの延長線上にあります。それが違和感なくバーチャルの世界に重なるのは、ボーカロイドの世界で構築し続けてきた「ストーリーテリング」の賜物と言えるでしょう。そこに「物語」を見出すことが、バーチャルなつながりの本質なれば。
個人的に好きなもののクロスオーバがまた一つ生まれたので、「ささくれさんのすゝめ」的にまとめてみました。どちらかからどちらかへの、なんらかの橋渡しになれば幸いです。
LIN NE KRO NE feat.lasah / sasakure.UK
そしてこれもまた「ささくれ節」なのです。震えて聴け!
ということで(?)、アニソン語り企画「せーので聴けって言ってんの!」の第2回を予告通り更新いたしました。よければこちらも覗いてみてください。