こんにちは、松屋。久しぶりの「ごろチキ」
変わらないな、と思った。
ごろごろチキンカレーの横にはいつもの味噌汁。
まわりはどんどん変わっていく。あれからコロナもあったし、すっかりリモートワークに慣れてきた。じわじわと物の値段が上がって、マクドナルドは高級品だ。
2連覇したときの西武ライオンズのメンバーはみんな他球団でクリーンナップを打っていて、その代わりにささやかな投手王国を築きつつある。呉念庭は台湾に帰った。
それでもオリジナルカレーの味はあの頃のままだ。
じわっとくるスパイシーさは鮮烈。「こんなに辛かったっけ?」一口目でそう思う。
だが次の瞬間にはもう求めている。オリジナルな辛さを。
そこにごろごろと入ったチキン。大ぶりに切ってあって、あえて食感をたのしめるようにしてある。
やわらかくて、味がしみていて、ただただ、おいしい。
焼き上げられた鶏もも肉から溢れでる豊かな脂と旨みが、オリジナルカレーに溶けあっていく。少し硬めに炊かれたライスがそれを受けとめる。
はじめて出会ったのは2016年だったか。いろんなことがあったけど、いまだに君は老けこんでいない。「定番」と呼ばれることをきっぱりと拒否している。
相変わらずおいしいポジションだ。僕もそうありたい。
たしかに少し値上がりはした。でも2024年のいま、これが780円なら満足だ。ランチで1000円以下のお店を探すのもだんだんむずかしくなってきている。
正直、松屋の新メニューも高くて躊躇したことがある。もうごろチキを590円で売っていい時代じゃない。
ここ数年で松屋の人気は確実なものとなった。新メニューが発表されるとまわりが騒がしくなるからすぐわかる。
実際、シュクメルリはすばらしかった。ジョージア料理を日本に広める大事な役割を担ったし、クックパッドに松屋公式レシピを掲載して、さらに駐日大使を松屋店舗に招くなんてPRセンスも磨かれている。
そこからの展開は早い。ペルーのロモサルタード、タイのガパオライス、イタリアのカチャトーラ、ポーランドのミエロニィハンバーグ。次々と各国料理にチャレンジしていった。
なんだか遠くに行ってしまったようにも感じられるけれど、やっぱり「ごろごろ煮込みチキンカレー」だけはそのままだった。
味についてはこれ以上語ることがない。カレー、チキン、どれも間違いない。定番ではないけど、松屋の立派なアイコンだ。
2024年のごろチキも満足だった。次は10周年で。