「こんなゼルダの伝説は嫌だ!」とならないための伝え方アレコレ
ゼルダの伝説で、ここ1週間ほど寝不足です。
前作を超える膨大な世界は発見の連続。
こうも広いのに、ある程度迷わず、そしてハマらせるのは、難易度の異なる複数の目標の提示といった伝え方の技術が巧みだからだと思ってます。
ということで、ゲーム開発者なので、伝える技術という観点で見ていきます。
なぜ、伝える技術が重要なのか
わからない = つまらないに直結します。
イメージしやすいように、逆説的に伝える技術がゼロすぎて「こんなゼルダの伝説は、わからなさすぎて嫌だ!」を考えてみます。
最初からあらゆることができ、操作方法が覚えきれないゼルダの伝説
最初に一気に教えるスパルタで、後で何も教えないゼルダの伝説
一切ヒントを提示しないゼルダの伝説
行動の結果がわからず「合ってるのかわからない」ゼルダの伝説
ヒントを教えるが、「やらされ感」があるゼルダの伝説
どうでしょう? だいぶつまらない感じになったのではないでしょうか。
でも、こうなっていないということは何かしらのからくりがあるはずです。
ということで、具体と抽象化したものをみていきましょう。
切り口としては、「行動の時間軸」です。
※ここから先は一部ネタバレが含まれますので、ご注意ください!
【Ⅰ】行動前の伝え方
1.操作方法を教え、その場で実践できるようにする
例)「素材の投げ方」を教える
まず、操作方法を教える(知らないとできない)
次に、実際に行動してもらう
行動に成功したら、評価する
2.先にできないことを見せ、後でできるようにする
例)「ウルトラハンド」習得前のレールとフック
先に、できないことを見せる
次に、習得する場を設ける
できなかったことが、できるようになる
3.先にやらせて、後で評価する
例)冒頭のハイラル城の地下
先に、自由行動の時間がある
次に、初めての敵(キース)が登場する
実際に行動して倒す
「大丈夫でしたか?」とゼルダがリンクに語りかける
4.ヒントを直接的に伝える(即効性が高い)
例)耳寄りな情報
どこどこには、こうやるといいよ、という正解に近い情報
5.ヒントを直接的に伝える(即効性が低い)
例)耳寄りな情報
どこどこに行くと、何かがあるっぽい
6.ヒントを間接的に伝える
例)「ウルトラハンド」習得の祠
先に、明らかに進めない道をみせる
近くに、パーツが落ちている
上をみると、「レールの上を滑空するフック」がある
7.「絶対やらないでね!」と「前フリ」する
例)『ハイラルボックリ』
危ないから火に近づけないで、と言われる
近づける
めっちゃ燃える
【Ⅱ】行動中の伝え方
8.ネガティブ情報は、予兆を伝える
例)武器の耐久率
装備すると、そろそろ壊れそうだ、とリマインドする
予兆もなく、いきなり壊れるとびっくりすると思うんです。
【Ⅲ】行動後の伝え方
9.強化したい行動を「ポジティブフィードバックする」
例)カバンダの看板支え
困っている人がいる
人助けをする
人助けをするとアイテムがもらえる
このアイテムには直前で足りないものがある
よろず屋にいくが、ルピーが足りない
助けるとルピーをもらえる
10.強化したい行動を「反復させる」
例)スクラビルドの祠
まず「いかにも燃えそうな草」の上に宝箱を見せる
近くには、弓矢と燃える実がある
それをくっつけて燃やす
奥に強敵がいる
敵の足元に、やはり「いかにも燃えそうな草」がある
気づいたら、10個くらいありました。
遊んでくれるユーザーさんをハマらせるために、様々な方法が使われていることがわかりました。これもほんの一例で、まだまだたくさんありそうです。
任天堂さんほどの歴史があると、適当にやっているのではなく、
フレームワークを使い、狙って作っていますね。
メンタルモデル、行為遂行のサイクル
フロー理論
ツァイガルニック効果
このあたりが使われてそうです。
なんやそれ、と思ったら以前に調べたこのあたりも参考になるかもしれないので、ご興味があればご参考ください。
ゲーム開発者だけでなく、サービス設計している人も参考になると思います。もちろん、いちプレイヤーとしても。
忙しいひとは最初のチュートリアル部分までやるのもありです。
そこからが沼の始まりなんですけどね!
では、またお会いしましょう。