マニラ夜想曲 ~その日、マニラは雨だった~
まとわりつくような暑さと湿気、そして機械油のような臭い。
ニノイアキノ国際空港のエントランスを出たときに感じたもの。
10年ほど前に初めてマニラを訪れたときのことだ。
以来、マニラには仕事で度々足を運ぶことになり、コロナが爆発的に蔓延した2年を除いては、年に数回訪れている。
今日のマニラは雨だった。
今は雨季らしく、雨の日が続いているらしかった。
猛暑日の続く日本より涼しく、すごしやすいように感じる。
この10年で、日本は確実にマニラより暑くなっているようだ。
9時45分の飛行機に乗るため、7時半前に羽田空港へ向かった。
チェックインは前日にオンラインで済ませているので、直接荷物を預けに行けるようになっている。
荷物を預けるのも今はセルフになっており、カウンターでの手続きはない。コロナのときに人が減ったせいか、自動化が進んでいる。
搭乗する飛行機が空港の建物から離れたところにいたため、バスでの移動となる。
「サンミゲルビールのリンゴフレーバーがうまいんだよ」
そんな会話が聞こえた。
アップルフレーバーのサンミゲルは見たことがあるが、あえて飲んだことはなかったな、などと考えていると、飛行機に到着した。
それにしてもマスクをしている人がめっきり少なくなった。
バス移動のせいもあってか出発は大分遅れたが、マニラには定刻より早く到着した。
そのあたりも見越した時間設定なのだろう。
ニノイアキノ国際空港よりタクシーで宿泊先のホテルのあるマカティへ移動する。値段はおよそ400フィリピンペソ。今のレートだと1000円弱。以前は900円程度だった。対ペソでも円が弱くなっている。
ホテルにチェックイン後、早々に会社の事務所に顔を出し、定時まで仕事をする。
平日に移動すると着いた後に休めないのが辛いところだ。
適度なところで切り上げて、マニラ駐在の課長と夕食に出かける。
入ったのはGreen beltというショッピングモールのレストラン街にあるBar Pintxosというスペイン料理の店。
パエリアやイカのフリットなど比較的馴染みのある味で食べやすい。
課長のオススメでウナギの稚魚のアヒージョを食べた。しらすより太く、食感も柔らかい。面白い味だ。
マニラと日本の時差は1時間。マニラのほうが1時間遅い。そのくらいなので腕時計の時間は直していない。スマホのほうは電波をひろうと自動で現地時間になる。
時差ボケにならず済むのはありがたい。
サンミゲルのアップルフレーバーはシードルのような味で、ビールの風味がほのかにあるというものだった。悪くはない。