EO・鈴木崩残氏との思い出#3
「お持ち帰り」に失敗した翌日
「お持ち帰り」に失敗した翌日は朝から仕事だったが、自分の全てがダメだった。
ほとんどの時間、昨日の女性との出来事に心が完全に奪われ、ボーッとしてるだけ。そこにつっ立ってるだけ、座っているだけで全く使い物にならなかった。
頭の中が、昨日のドラマティックな展開、何度もキスをしたこと、昨日の女性と再び会えるのか?会ったらまた普通に話してくれるのだろうか? などなど。
もう頭のおしゃべりが止まらず、加えて睡眠不足、二日酔いで、全くもって
どうしようもないポンコツぶりだった。
あまりのポンコツぶりに、先輩社員が怒って仕事を取り上げたほどだった。
早く仕事が終わらないかばかり考えていた長い1日が終わると、私はすぐに昨日行った店に飲みに出かけた。
お察しの通り「彼女とまた会いたい、行けばまた会えるかもしれない」と思ったからだ。
終わってすぐに向かったのは、出会うきっかけになった1軒目のスナック風のお店だった。
結論から言うと「空振り」だった。
だけど、彼女がママが独立する前のお店からの常連であることは分かった。
そして2軒目のBARに向かった、2時間ほどいたが、こちらも空振りだった。
収穫だったのは、彼女の来店頻度が聞けたことだった。
多い時は週に2回ぐらい、来ない時は1〜2ヶ月ぐらい来ない時があるとのことだった。
そのBARは前にも書いたかもしれないが、カウンターに座ったお客さんとのコミュニケーションを重視していて、一人で来ても孤立せずに会話を楽しめるの点が良かった。
また置いてあるお酒や、カクテルも美味しく、肩肘が張らない程度のこだわりがあるので、リラックスできるし、お酒の知識や葉巻なども勉強になり、とても居心地が良かった。
お酒を飲みながらも頭の中にあるのは、彼女にどうやったら会えるか?だった。 店主との会話から得た情報で思ったのは、この店にしばらく通っていれば、やがて彼女に会えるだろうという考えだった。
大金持ちではないので、「毎日2軒通うのはさすがに厳しいな、週に2回ぐらい通えば そのうち会えるだろう」という程度だった。
他に気をつけることは、店主とスタッフが安心して接客してくれる客になることだと思ったので、例の彼女に興味があることは会話にも表情にも一切出さないようにした。
その昔、大学生の頃に私をすごく可愛がってくれる面白いおじさんがいた。
その方は個人でお店を経営していて、お金持ちだったが、なんの取り柄もない私をなぜか可愛がってくれて、ホステスさんがいるようなお店によく連れて行ってくれた。
その人は「お金を持っている」という理由だけではなくホステスさんにモテていた。(見た目は全然普通のおじさんなんですが(^_^) )
ある時、「私が何か秘訣とかってあるんですか?」と野暮な質問をしたところ、
「女性が相手をしてくれるお店では、ママに好かれないと絶対ダメ!。ママに嫌われたらお終いだよ」と笑いながら答えてくれた事がすごく記憶に残っている。
そのせいなのだろう、お目当ての女性にフォーカスし過ぎて狭視野にならないよう店の店主とスタッフとの関係構築に気をつけた。
そして、私はそのお店に週2回ぐらいのペースで通い始めた。
1ヶ月が過ぎた、一度も彼女に会えなかった。
2ヶ月が過ぎた、まだ現れなかった。だが、店主とスタッフからはすっかり「安心して接客してもらえる常連さん」になった。
スタッフから大切な常連さんを紹介されたりするようになった。
3ヶ月目に突入しても、まだ会えずにいたが、もう例の彼女もことも、そんなに気に留めなくなってきた。
他の複数の女性の常連さんとも仲良くなったりして、「こういう風にお店で過ごすのもいいかな」という気持ちになっていた。
しかし、数日後
彼女は来た!
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