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青く沈んだ夜明けの向こう【長編小説|完結済】

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青白い夜明けで足を止めたその世界で、俺は彼女に出会った。
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2022年10月の記事一覧

【長編小説】(2)青く沈んだ夜明けの向こう

あの明け方の世界で長い時間を過ごした感覚はなかったが、元の世界に戻ると太陽は天蓋の中天を少し過ぎたところにいた。大通りでは昼食を終えたサラリーマンたちが、揃って暗い顔をしてオフィスに吸い込まれていくところだった。 夜道を追いかけてきた借金取りたちの姿はない。そもそも、夜道がない。太陽は細い路地裏の末端まで明るく照らしていて、裏社会の住人たちは光の届かないところで身を隠している。 満たされた胃に血液の多くを持って行かれてぼんやりとした頭で家路を歩いたが、怒号を発するガラの悪い男

【長編小説】(1)青く沈んだ夜明けの向こう

薄暗い路地裏の裏を、殺気に満ちた怒号に追われて走る。ビルに挟まれた狭い通路の地面はコンクリートが剥がれていて、踏み出すごとに指先に引っ掛かる小石は俺の足を絡め取ろうとしているようだ。もたれて転べばひとたまりもない。父親が残した多額の借金のカタに、俺はバラされて小分けの少量パックに加工され売り飛ばされるだろう。 夜通し逃げ惑い、脚も肺も限界だ。酷使した気管がヒューヒューとおかしな音を立て、力を使い果たしたアキレス腱はブヨブヨの海月のよう。気力だけで夜の闇を進む中、脳の最奥だけは