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小さなイノベーション

社会を、というよりももっともっと小さな局面で、たった一人の意識を変えるためにでも、小さな小さなイノベーションが果たす役割は、思ったより小さくない。

昨日の#モリゼミ第5回クローズドゼミでは、そうした小さな一歩を踏み出すためのワークショップが開かれた。デンマークチームでは、私の友人で姫路市立手柄小学校教諭の三浦一郎さんをはじめ4名のゲストをお招きした。

でも、実はデンマークチームに三浦さんをお招きすることについて、自信があったわけではない。正直言って私自身、三浦さんの活動を十分に理解しているわけでもないし、今回のワークショップの意向が彼にうまく伝わるかもわからない。

それでも彼に参加してほしいと思ったのは、デンマークの民主主義教育を学んだ私たちが、日本の教育において小さなイノベーションの実装を企図するならば、教育の現場で働く教員の声を聞くことは、とても大切だと思ったから。そして彼ならば、きっと私たちの意図を理解してくれるだろうと直観したから。

そして、その直観は間違っていなかった。例えば三浦さんが語ってくれた「教員に対して『あなたが本当にしたい事は何か』を問うてくれる人がいない」という言葉は、ワークショップに参加したメンバーに、今の教員達が抱えている漠然とした不全感を伝えるのに十分だったと思う。それは、様々なかたちで教育の現場に関わったことのある一人一人に、「先生」が抱える本質的な困難を思い起こさせる。子ども達が「本当にしたい事」を実現することを問う前に、大人たちがその道を歩んでいるか、と問われることになるのだから。そしてその言葉はそのまま、組織の中で生きる私自身にもつき付けられているのだから。

今回参加してくれたゲストと、メンバーたちの語るマイプロジェクト(小さなイノベーションの卵たち)が起こした交感が、どのように形を成してゆくのだろう。そして私の小さなイノベーションの卵を、私はどのように育ててゆけるだろう。

写真:安藤榮作彫刻展(MU東心斎橋画廊10周年企画展,2020)より

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