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#186 My Narrative to xxx.Vol1:愛は伝えないと伝わらない②/瀬川 文子さんのナラティブ

場創りと人創りで組織能力の全開を支援する
ナラティブサポートの上村です。

昨日から連載のシリーズ第一弾として瀬川文子さんのナラティブをお送りしております。昨日の記事はこちら。本日は前回の続きになります。

第2回目は、瀬川さんが現在のコミュニケーションのトレーナー、講師に至るまでどのような経緯があったのかについてご紹介させていただきます。ここに人生を動かす大きな物語がありました。今回はそちらから何か気付きを得ていただけますと幸いです。

子育でのすれ違いと本との出会い~子供に愛が伝わっていますか?~

上村:親の教育が大事というところがありましたが、そこに至るまでにどのような事があったのか、今のお仕事に至るまでに何をされていたとか、そこでどのような経験をされてきたのかお聞かせいただけますでしょうか。

瀬川:はい。そうですね。元々、私前職は日本航空の客室乗務員で国際線を14年間も飛んでいました。最後辞めるときにはパーサーまで行っていたので、かなりキャリアを積んでいたにもかかわらず、結婚を機に退社したんです。


客室乗務員時代の瀬川さん

なぜ退社したかっていうと、結婚しようと思った相手の男性が再婚で二人の娘を連れている人だったんです。だから私は初婚だったんですけど、結婚したその日から親としての役割も果たさなきゃいけなかったっていうことで仕事を辞めざるを得なかったんですね。でも今考えると夫が仕事やめて夫が子育てするっていうのもありだったかもしれません。

なんかステレオタイプ的に私がお母さんだから自分が仕事辞めて家庭に入った方がいいのだろうなって思い込んでいたんですかね。それをきっかけに仕事をきっぱり辞めて家庭に入ったというのがスタートです。だけど、やはり積み重ねの信頼関係が全くない状態での子育ては本当に難しかったです。すでに色々な価値観や躾を受けて、ある程度その子の生き方みたいなものが半分出来上がっているのに、突然、全く違った価値観を持った人と一緒に暮らすのは子供にとってはストレスですよね。

上村:その時お子さんは何歳だったんですか?

瀬川:上の子が小学校六年生、下の子が小学校一年生でした。だから上の子は思春期に入りかけていました。まぁ難しい時期ですよね。

上村:そうですね。

瀬川:死別じゃなくて離婚しての再婚でしたので、やはり娘にしてみたらお父さんを取られちゃったみたいな嫉妬みたいなものもあったのかなと思うんですよ。そして、お父さんが母親の役割も担っていたので、子供達はお父さんが大好きなので、心境は複雑だったと思います。幼い分、下の子はお母さんという存在に期待があったので、私に懐くのが早かったんです。最初からママとか呼ばれました。私もビックリしました。でも上の子はやっぱりお母さんとの思い出も記憶に残っているので、私に対してはちょっと抵抗感があったのだと思います。思春期も重なっていたし、お父さんのことが大好きだから、お父さんを取られちゃったみたいな多分複雑な心境があったのだろうなとは思うんですね。

そして中学生ぐらいまでは私の言うことも「こうした方がいいんじゃない?」「こうするべきよ」っていう躾だとか考え方の部分も受け入れいたのですが、だんだん成長するにつれて、あれこれ口出しする私を「もううるさい!」っていう感じになったんです。

私がどちらかっていうと、完璧なお母さんをやらなきゃいけないって自分に責任を感じていたのでいい子にしなくちゃ、きちんと育てなきゃいけないって、いう思いがとても強かったんですよ。よくある新任リーダーと一緒ですよね。

責任感の罠にはまっちゃったっていう感じですね。だから「あぁしたらダメ」「こうしちゃダメ」「こうする方がいいに決まっているでしょ。私の方が大人で色々な経験しているのだから」「私の言う通りにしては間違いないのだから言うことを聞きなさい」という感じで一方的に私のやり方とか価値観を押し付けちゃったんですよね。

それがこうだんだん積み重なって、高校生ぐらいになった時に凄く反発してくるようになって「ほっといて!」みたいな感じになっちゃったんです。

本当に私にも思いがあって「一生懸命やっているのに何で分かってくれないの?だったらもういいよ。好きにしたら!?」みたいに私もちょっと投げやりになっちゃった時期があって。それで彼女の方も「もううるさいからほっといて!」ってなって、同じ屋根の下に住んでいるのに本当にまともに口聞かないみたいな時期がちょっとあったんですね。

でもやっぱりそれは良くないなっていうのはすごく思っていたし、下の子に対する影響もあるし、結婚して一年後に私も息子を生んでいるので、息子の教育上もやっぱり良くないし、色々なことで悩んでいたんですね。

瀬川:もう本当に真っ暗な、どこに出口があるのだろう?というような感じで凄く悩みながらも、このままじゃいけないっていうのが常に頭の中にあったんです。でもどこからどうやってそれを改善したらいいのか?本当に出口が見つからない感じで悩んでいたんですよね。

そんな時にゴードン博士のコミュニケーショントレーニングに出会ったんです。

それは本からでした。「子供に愛が伝わっていますか?」という本です。日本ではゴードン博士のプログラムって「親業」って呼ばれているんですね。その「親業」を日本に紹介して、そしてそれを広めるための組織を立ち上げたのが、ゴードン博士の「親業」(大和出版)の翻訳者の近藤千恵さんです。その方が書いた本でした。

たまたま本屋さんでこの本に出会ったんですけど、題名に引かれました。「子どもに愛が伝わっていますか?」ですからね。もう、ぐさっ!ときたわけですよ。私の愛は伝わってないのだろうなぁって思ったので、手にとって読んでみる気なりました。親業という言葉も知らなかったし、そういうトレーニングプログラムがあるっていうのも知らなかったので、本の内容を読んで本当に目から鱗が落ちる思いで、ちょっと救われた気もしたんですね。

「私は愛情が足りないダメな母親だ」ってすごく自分のことを責めていたんですけど愛情が足りなかったのではなくて愛情の伝え方を間違っていたということに、この本から気がついたんです。

愛が愛として伝わるような伝え方も必要だし、相手の思いをきちんと受け留めて聞くことが愛につながるのだということをこの本を読んで気付かされたんです。トレーニングがあるって書いてあったので、じゃそのトレーニングをぜひ受けたいと思って門戸を叩いたのがきっかけでした。娘と関係回復のために謝ることから始めました。

上村:なるほど。

謝ることから始めたコミュニケーションと娘からの嬉しい言葉

瀬川:このトレーニングを受けて、本当に自分のコミュニケーションの取り方を反省したんです。

別に娘が憎かったわけじゃないし、私なりの愛情があって色々なことを言っていたわけですよ。「絶対こっちの方がいいよ」「 こうした方がいいよ」っていうのは、ある意味おせっかいでもあるのだけど、私なりの愛情だったんです。でもそれがうまく伝わってなかったし逆に相手を傷つけるような言い方をしていたのだなっていうことにトレーニングを受けて、本当に目から鱗が落ちたんです。

それで娘に話をしたんです。「実は今私こういう勉強していてね。気がついたことがたくさんあるの」と。別に娘を傷つけたかったわけでもないし、私なりに一生懸命だったのだけど、そのやり方、伝え方が間違っているっていうことがわかったから、謝りたいっていうことでごめんねっていうところから始めました。

実はこれを学んでいた時には、娘は高校中退して家を出て、自立していたんですよ。

一回家を出ちゃったら、やっぱり私との関係が悪いから家に寄りつかないっていうか帰ってこなかったんですね。話したいことがあるからと連絡して、外で会って謝ったんです。

それですぐに仲良くなったわけじゃないんですけど、それがきっかけで娘もちょっと気持ちがほぐれたのだと思います。

その時に言ってくれた言葉が「私ね、別にお母さんが継母だったから反抗していたわけじゃないよ。高校生ぐらいの時って誰でも反発するんじゃない?」ってさらって言ったんですよね。いやー、大人だなと思ってね。そういう面はきちんと見えてなかったなっていうのも反省しました。

絶対、傷ついていることもいっぱいあっただろうし、私に言いたいこともたくさんあったのだろうけど、そういう大人の対応ができる優しい子なのだなっていうのを、その時に改めて感じて、申し訳ないことしたなっていうふうに思いましたね。私は一体この子のどこを見ていたのだろう。できないことやらないことばっかりに目を向けて注意していたのだなと。できているところとか、人をこう思いやるような、そういう気持ちの部分はきちんと見てなかったし、気がついてなかったなっていうのにも気がついて大いに反省したっていう感じですよ。

それをきっかけにね、娘が家に帰ってくるようになったんです。

上村:そうなんですね。

瀬川:一応独立はしていたんですけど、帰ってくるようになって、最初のうちは照れくさいから友達と一緒にご飯食べに行きたいのだけどいい?みたいな。友達を連れてきてうちに帰ってくるみたいなことから始まって、だんだん色々と普通に話ができるようになってきたんです。そして一番人間関係を取り戻したのは、彼女が結婚して初めての出産の時に里帰り出産を選んでくれたんですね。それで、本当に久しぶりに同じ屋根の下に三か月ぐらい一緒に住んだことで大きく関係が変わりました。

その時にね、色々な過去の修復ができたんですね。お互いに思い出を話したんです。「あの時、こんなことあったよね」「あの時ってどんな気持ちだったの?」とかね。そんな話をできて、本当に本音で率直に「私はこういう気持ちだったのだよ」とか。娘は「えぇ!?私はこういう風に思っていてさ!」みたいな感じで、本音で話ができたんです。

その時間もすごく良かったけど、子供を産んでから彼女が母になったことで、ものすごく成長したのだなっていうのも感じました。その時に娘からもらった言葉「お母さんってすごかったのね。すごい人だったのね」に感動しました。

上村:嬉しいですね。

瀬川:「だってさ、お母さんが初めて子供を産んだ時って、もうすでに私たち二人の大きい娘がいたわけじゃない。私、今この子の一人の面倒を見ることで精いっぱいなのにお母さんは私たちの面倒も見ていたのよね?」って言ってくれたんですね。「すごいよね」って言ってくれたのが本当に嬉しかった。

上村:いいですね。

インタビューをおこなっての所感

今回、ご自身の経験を包み隠さず話してくださいました。今回の内容にも愛情の話がありましたが、こういったお話をしていただけることに感謝するとともに本当にその愛情を感じました。

思っていることがある。相手に対して良かれと思ってやっていることがある。しかしそれが相手に伝わらない。

そんなもどかしい気持ちをされている親、上司の方も多くおられると思います。他にも友人関係、夫婦関係でも悩まれている方も多いかも知れません。

あなたが悪いのではない、あなたの性格、人格、あり方が間違っているのではなく、それを正しく伝える方法を知らないだけであるという言葉は皆さんにとっても安心する言葉ではないでしょうか?

次回のお知らせ

今回、コミュニケーションにおける「伝え方」といった「やり方」のお話がありました。明日は、コミュニケーションの専門家として、「やり方」だけではなく「あり方」との関連性等ついても触れていただいている内容をお伝えさせていただきます。

瀬川さんのnoteご紹介

こちらに瀬川さんのnoteで紹介されているゴードン・メソッドの記事を記載させていただきます。非常に参考になる内容ですので、皆さんも一読ください。

ゴードン博士の『親業』の本から私が1人の親として、またこのメソッドを伝えるインストラクターとして気づきや感動をもらった文章をシリーズで投稿しているnoteをマガジンにまとめました。

瀬川さんのnote記事より

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