#188 My Narrative to xxx.Vol1:愛は伝えないと伝わらない④/瀬川 文子さんのナラティブ
場創りと人創りで組織能力の全開を支援する
ナラティブサポートの上村です。
連載のシリーズ第一弾としてお送りしている瀬川文子さんのナラティブも今回でラストの4回目になります。過去3回の記事はこちら。
前回は、コミュニケーションにおけるあり方とスキルの関係性についてお話いただきました。最終回は若者へのメッセージを語っていただきましたが、若者のみならず、様々な人間関係に悩まれている人たちにとって多くの学びと気付きがある話になっております。少し長編になりますがお付き合いいただけましたら幸いです。
今の若者へメッセージ~失敗を恐れずに~
上村:本日の話の中で「本音で話をできる場って大事」ということがありましたけれど、今の学生の方ってこの数年、コロナやリモートの浸透、SNSの発達等でコミュニケーションにおいて昔とは違う部分もあって、対話という部分も色々と変化しているのかなというふうに思うんですが、普遍的に大事なものは変わらないのかなと瀬川さんの話を聞きながら感じました。
上村:今の若者、特に高校生、大学生というこれから社会に出ていく人に何か伝えたいことを聞かせてもらってもいいですか?
瀬川:やっぱり失敗してもいいからきちんと自分の思っていることや考えていることを言語化するって大事だなと思いますね。そこで、一時的に関係が悪くなるっていうこともあるかもしれないけど、でも言わないことで悶々とずっとそれを抱えるよりは、健全だと思います。言う事で相手から抵抗や反発があったとしても、自分の考えていることを思っていることはきちんと言えたっていうのがやっぱり自信になるような気がするんですね。ただし、相手を傷つけるような一方的言い方ではなく、私を主語にした自己表現で!
上村:確かにその通りですね。
瀬川:だから、後悔しないようにやっぱり思っていること、感じたことは言葉にして伝えてみるっていうことが大事だと思います。それに対して相手からアクションがあったら、それはやはりきちんと受け止める覚悟もいりますよね。自分は今言いたいことを率直に言った訳だから、あなたもきっと言いたいことありますよねっていう。そういう心持ちで、相手の反発や抵抗にもきちんと耳を傾ける覚悟を持つというのは大事なことかなと思いますね。
上村:なるほど。それはありますね。
瀬川:なかなか難しいことなんですけどね。でも一度でもそういう体験ができると、自分に自信が持てるようになるんですよ。きちんと自己表現ができるようになると自尊感情が高まるんです。「言いにくいこともきちんと僕は言えた」っていう自信になります。それから自己効力感も高まります。「やればできるんだ」っていうね。そしてそれはやはり日々の生活の中で、繰り返すことで自尊感情とか自己効力化を鍛えることができるんです。これがレジリエンスにつながるわけですよ。
上村:冒頭のお話でありましたね。自尊心、自己効力感、感情調整、楽観性、人間関係。
瀬川:そう。それでね、感情調節っていうのは、その物事の捉え方なんです。出来事は必ず中立なんですよ。出来事にいいも悪いもないんです。それに意味付けするのは私なんです。だから、その意味付けを俯瞰して見られるってすごく大事なことだと思ですね、例えば挨拶したけど相手から挨拶返ってこなかったりすると、あいつ俺のことを無視した。だから腹が立つっていう感情になるわけじゃないですか。でも、無視したっていう風に捉えているのは私なんですよ。事実は挨拶したけど返事がなかったっていうだけのことなんですよ。それにどういう意味付けをするかっていうのは、私の勝手なわけですよね。
無視したって捉え方をしちゃうと、やっぱ感情も違ってきますよね。だけど無視じゃなくってもしかしたら聞こえなかったのかも?という捉え方ができたとしたら感情違ってくると思いませんか?
上村:違ってきますね。
瀬川:そういうことを繰り返しやっていくことによって自分で少しずつコントロールできるようになるんですよね、捉え方を変える、それが感情調節なんです。
楽観性についてですが、楽観性っていうとどちらかというと元々生まれ持った気質みたいなイメージする人もいると思いますが、レジリエンスで言う楽観性は「バランスよく見られる」「俯瞰して見られる」ということなんです。ネガティブなことだけに目を向けないでポジティブな面もあるというバランスで見るという力が楽観性なんです。
冒頭にお話しした5つの力は本当大事だなと思います。
※レジリエンスの5つの力は第1回のこちらを参照ください。
上村:楽観性の話で言うと私は昔からネガティブ思考だったんですけど、一時から楽観思考になりました。それはどうしてだろう?と思ったんですけど、私の中でも先ほどから言葉にあった自己効力感とか、人間関係みたいなところが満たされてきたことによって、他のところに対しても相乗効果的にポジティブな考えができるようになったんだって、瀬川さんのいくつかの言葉を聞きながら、つながりを感じていました。
瀬川:みんなつながっていますよ。自尊心も自己効力感も感情調節も5つの力は全部どこかでつながっている感じですよね。やっぱり得意不得意があるので得意なところから伸ばしていくと全体も上がってくる感じです。
上村:感情調節のところ、私も今は「もしかしたらそうなのかもしれない」「そうだとしたら」という視点で考えるようにしています。もう1つ「難しいって考えるのではなくて、慣れてないだけって考える」っていう言葉を教えてもらって、その言葉はとてもいいなと思ってかれこれ5年程、意識して実践しています。
瀬川:なるほど、素晴らしい。
上村:そうやって考えると、いつも「まだ今日もできなかったな」とか「人と比較して自分まだまだだな」と思ったりするようなシチュエーションでも「そりゃそうだな。まだ慣れていないだけだから」と思えるので、そうなったらもう前に進むだけですからね。
瀬川:そうですよね、前向きになれますよね。だからビジネスシーンでの鍛え方ってそういうことなんですよ。日々の生活の中でそうやって力をつけていくっていう感じかな?
瀬川:そのためのワークもいっぱいあるんですよね。いいこと探しもそうです。いいことを毎日三つ書き出して記録しておくと脳がポジティブなことを探すようになるとかね。
それと若い人は色々な人と話すということが大事だと思います。でも最近の若い人は人目をすごい気にするって感じるんです。最近の記事で、高校生は人前で褒められることをすごく嫌がるというのを読みました。
人の目が気になるから「あいつ褒められちゃってさ。みたいに思われるのが嫌だから、人前で褒めないでください」という反応するらしいですよ。とにかく人目をすごく気にしているみたいです、若い人達って。もちろん全員じゃないだろうけど、そういう傾向があるみたいです。だから人目を気にせずにやっぱり思ったことをきちんと言ったり、やったりして失敗するのはすごくいいと思います。失敗は辛いですけどね。
上村:辛いですよね。でも高校生・大学生だったら親に対して進路の話や自分はこんな夢があってこんなことしたいみたいな話もする機会あるでしょうし、好きな子ができたらきちんと思い伝えるっていうところもありますしね。
瀬川:そうそう、大事。好きな子できたら思い伝えるって大事ですよね。伝えない限り伝わらないですものね。恋は成就しない。よく、若い子にはそういう話します。自己表現って大事だよって。好きって言えないとガールフレンドできないよとかね。そして言えたっていうのが自分の自信にもなるんですよ。
上村:私も言わないと自分が後悔するなと思って言葉にしてきましたが、そこでおっしゃっていた通り自己効力感のような自分に対してよくやったっていう気持ちが沸き起こった事を思い出しましたね。
瀬川:自己表現って本当そうなんですよ。自己表現って本当に自分に自信がつくんですよ。「言えた!」っていうね。大事だと思いますね。
上村:言えたけど上手くいかなかったときも感情調節をして「上手くいかなかったな」で終わるんではなくて、言えた自分をまず褒めようっていうふうに言葉を自分にかけてあげるのが大事ですね。
瀬川:そこ大事ですよね。若い人に言いたいことって言ったらいっぱい失敗してって事ですね。私なんか失敗だらけですし。でも子育てで失敗したからこそ今があるんですよね。
これ最初から上手く出来ていたら多分こんな風に一生懸命コミュニケーションについて考えようと思わなかったし、上手くいかなかったからこそこのような学び、考え方に出会ったんです。人生変わりましたよ。
上村:失敗するからこそ謙虚になるというのもありますよね。
私はずっと成功ばかりしていた人生ではないから成功ばかりの人生は分からないですけど、ずっと成功しかしていなかったらやはり驕りができたりとか、自分はすごい人間だって思ったりして周りに対して謙虚になれないような気がするなと思いました。だから本当に失敗はありがたい経験だなと思います。
瀬川:だからいっぱい失敗してくださいって思います。思ったことをやってみて、若いうちにいっぱい失敗すると後でご褒美いっぱい来るよって背中を推してあげたい。
行動する事で点と点が線になる
上村:そうですよね。ご褒美というと、そうやって色々な失敗や経験をしていくと素敵な人たちと出会えて、そういった失敗をしてもホールネスな温かく受け入れてくれる場所に今、入れているなと思っています。そういう素敵な人たちと出会うためにもいっぱい経験していかないといけないなって思いましたね。それがご褒美だなって思いました。
瀬川:そう思います。でもね、年を重ねてきたからそういうこと言えるのよね。若くて渦中にいる人はなかなかそう思えないのだろうなって思います。
上村:私も40歳になりますけど、孔子が昔「人は四十にして惑わず」と言っていますよね。まだまだ惑ってばかりですが40歳になってある程度冷静に見えたりとか、こうやって振り返ったりすることが出来ますけど、確かに18歳前後の時はこうやって整理できなかったとは思います。
瀬川:そうですよね。私も自分に何が向いているかも全然分からなかったし、自分のそれこそ強みとか価値観も整理できてなかったから、若い頃はずっとモヤモヤしていた感じがします。
でもモヤモヤしながらも興味持ったら何でもやってみるということを繰り返してきました。それが後でそれこそ点と点が線につながった感じです。
私、日本航空にいたことも今の講師にとても役立っていると思っているんです。日本航空にいた時はどちらかというとサービス業だから大変なことの方が多かったんですよね。
仕事の内容的には肉体労働が多かった感じでしたし、時差もきつかったですし。でもたくさんの人の前に出ても怖気づかないというのはサービス業でお客さんを相手にしていたからだなと思います。それから、その後も色々なことやったんですよね、興味の向くままに。精神世界みたいなところにも興味があったし、そこから心理学に興味が持てたりとか興味があることを少しずつ実行に移してみたり、かじったことがやがて全部線になって繋がって今に活きているというのはとても実感しています。
上村:本当にすごい実感されたのだなって今言葉に力強さを感じました。
瀬川:本当に無駄なこと何にもなかったなって。やってきたこと全部つながっているなというのは感じます。
上村:私もその考えは本当にその通りだと思っていて大事にしています。私も30歳ぐらいの時に仕事でメンタル壊してしまった事があったんですけど、回復した時に「興味ある事はしないと勿体ない」と思いました。それまでは「興味あっても自分にはできない」とか「行動するのが怖いな」っていう感情ばかりだったんですけど、「本当に興味があったらやってみよう」と思って初めて一人旅をしてみたり、一人旅同士で集まって飲みに行ったり、それからスキューバダイビング始めたり、水中で写真撮ることに興味出たり、フルマラソン走ったり、どんどん興味あるものをしていくとそこで色々な人と出会って点と点が線になって、最終的には資格の勉強に結びついて、そこから更に色々な学びの場に出て瀬川さんとも出会う場に出会ったり、ワークショップを学ぶ場に出たりしました。そしたらそこで更に色々とつながって、自分が新しいサービスと価値を提供するアイデアになったりして、今まさにこのようなインタビューもさせていただいています。
興味ある事に対して動き出す。それに対して意味付けをする。あとは謙虚、感謝を大事にしていくと、人生うまいこと行くばかりではないけど、概ねうまくできるのではと思ったりします。
瀬川:そうそう、本当に動いた分だけ縁がつながっていくみたいな感じはしますよね。
だから恐れずに色々な人と出会って、たまに騙されたりすることもあったりするかもしれないけど、それも何か糧になりますよね。こういう人は危険なのだとかっていうのも体験してみないと分かんないから。でも取り敢えず面白そうだなと思ったことは全部やってみたらいいですよね。
上村:やってみる事でアンテナも張ってくるし、危機察知能力強くなってくるし、つながりも大きくなってきたら色々情報も知っている人とも出会えて、自分の鎧や武器が出来てくるなとも思いますしね。行動すること大事ですよね。当たり前の話かもしれないけども。
瀬川:ほんと当たり前すぎちゃって若い人にはもう「耳にたこだ」って言われそうなのだけど。
上村:でも行動しようとしてもその行動を止めているものがあって、それが本当に外れないとか、行動しようにもその選択肢が見えていない、知らないとかね。そこを何かお手伝いしていけたらなんてことを思っています。
瀬川:まずね。やりたいことを口に出すことですよね。
上村:そうなんですよね。口に出したら結構助けてくれますからね。
瀬川:そう。誰か助けてくれたり、紹介してくれたりということが起きるんですよね。「これやりたいんだよね」っていうのを言っていると「俺じゃあそういう知り合いいるよ」とかって情報が集まってくる。仲間同士でだってそういうこと起きるかもしれない。
上村:私も今こうやって皆さんにインタビューさせてもらっていますけどこれも口に出した事で瀬川さんも協力してくれましたし、他にも多くの方に賛同してくれました。そして今回もそうですけ、とても贅沢な時間だなと思っています。色々な価値観や行動のヒントもらえたりして、とてもありがたいなと思っています。でもこれって行動、発信したからなのだろうなって思います。だから点と点が線になったんですよね。
瀬川:お得ですよね。こうやって行動しているから展開しているわけで、行動しなかったら何も起きないですものね。
上村:そうなんですよ。自分が行動して発信したら賛同してくれたり、応援してくれたり、嬉しい言葉をかけてくれたりばかりで、それで自己肯定感とかもあるし。ありがたいです。
瀬川:素晴らしい。もうその生き方そのものを若い人に見せてあげてください。
上村:そうですね。ありがとうございます。
こうしてお話をさせてもらったり、行動をしていたりすると自分の言葉と行動を一致させていかないといけないと本当に思います。出来ていない事もたくさんあるので人に伝えるのであれば人に伝えている事は自分が実践できるようにならないと思います。
瀬川:なるほどね。そうですよね。でも色々なタイプの人がいるからある人にとってロールモデルになれたらいいなっていうのは感じますね。こんな生き方している人もいるのだって。ああいいなぁ、そんな生き方したいなって思われる人でいたいなっていうのは思いますね。
若い人にこんなおばあちゃんでも頑張っているよと。私60代最後なんですよ。69歳になったんです。(2023年9月当時)
上村:瀬川さん本当に若いです。え?来年70歳?信じられないっていう感じです。
瀬川:年相応で別にいいのだけど、年齢に関係なく気持ちは前向きな人でありたいなっていうのはいつも思っています。
70歳でも大丈夫よ。こういう風に講師の仕事まだできているわよっていうロールモデルになれればいいなって。後はできるかわかんないけどやっぱ客観視もしたいなとは思っています。何か話がくどくなったり、滑舌悪くなったりしたら、もう講師とかあんまりできないのかなって。それは自覚したいなっていう気持ちがあります。定年をきちんと自分で決めなきゃなみたいな。それがいつ来るのだろうっていうのがちょっとまだ見えない。まだ大丈夫かなっていうふうに思っているのだけどそういう自分を客観的に見て老害にならないように気を付けています。
上村:それは大事ですよね。本当に。
瀬川:私は自分が講師をしている時の自分のビデオ見ていますよ。話がくどくなってないかなとか、分かりにくい喋り方してないかなとか、話し方の癖出ちゃっているなって気をつけなきゃとか、嫌だけど戒めに見ています。
上村:本当にいつまで経っても日々成長ですよね。先ほど「ある人にとってのロールモデルになれたら」という言葉がありましたが、私も最近、とある講座で講師の方が「皆さんのご経験やお話が絶対に必要としている方はいているのでその人に届けてください」という事を仰っていました。その講師の方を見ても「すごいな、この人。こんな風に多くの人に影響を与えられていてすごいなと思ったりもしましたけど、その人には伝えられないメッセージが私には伝えられたりもするだろうし、そういう心を持っておくことって大事だなというのは最近感じています。ですので、私もこうやって沢山の素晴らしい人生を聞かせてもらっていますが、多分昔の自分でしたら人と比べて「皆さんすごいな」「自分はちっぽけな人生だな」と思ったかもしれないですけど、今はワクワクしか出てこないというか、この人生を伝道できる人になれてきている自分を感じていて、それも自分の生き方なのだろうなって思えてきましたね。
瀬川:素晴らしい。
上村:本日はありがとうございました。若者だけではなく、様々な人間関係に悩まれている人たちにとって多くの学びと気付きがある話だと思います。本当にありがとうございました。
インタビューをおこなっての所感
最後のメッセージは多くの人にとって「楽に生きる」「優しく生きる」ヒントになったのではないでしょうか。
「言葉にしないと伝わらない」
「行動して失敗することで気付くことがある」
言葉ではよく聞くけど、そうは言ってもなぁと思われることも多いかもしれません。
瀬川さんの実際に言葉にして伝えていったこと、失敗から学んだこと、そして人生が少しずつ好転していったことを聞かせていただき、自分の原体験とも当てはめながら私も内省することができました。
ぜひとも皆さんもこの物語から「大切な人とのコミュニケーションを大切にする。そして伝える」ことを積極的にしていただけると幸いです。
瀬川さんのnoteご紹介
こちらに瀬川さんのnoteで紹介されているゴードン・メソッドの記事を記載させていただきます。非常に参考になる内容ですので、皆さんも一読ください。
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