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#187 My Narrative to xxx.Vol1:愛は伝えないと伝わらない③/瀬川 文子さんのナラティブ

場創りと人創りで組織能力の全開を支援する
ナラティブサポートの上村です。

連載のシリーズ第一弾として瀬川文子さんのナラティブをお送りしております。過去2回の記事はこちら。本日は前回の続きになります。


前回は、瀬川さんが現在のコミュニケーションのトレーナー、講師に至るまでどのような経緯についてお伝えさせていただきながだ、スキルが大切という話もありました。今回はあり方とスキルの関係性についてお話いただきました。コミュニケーションをおこなう上でのこの両輪についてヒントにしていただければと思います。

「あり方」と「スキル」

上村:コミュニケーションには「スキル」がとても大事という言葉がありましたけども、多分そのスキルの前にやっぱりまず「あり方」の話もあると思うんですが、「スキル」と「あり方」の関係についてはどのように考えていますか?

瀬川:ゴードン博士の根底にある哲学は「人は一人一人考えや思いも違うからやっぱり相互に分かり合うことが大事」「当然、考え方や価値観も違うから対立が起きる。その対立をどう解くかで人間関係は大きく変わる」「民主的な話し合いをする」ということがゴードン博士にとっては大事な哲学だったんです。

問題所有の原則

親子関係で親が子どもにいう事を聞かせる力を持っていたとしても、その力を使わずにきちんと子どもと話し合って、対立が起きたときに双方が納得する解決策を話し合いによって見つけていくことが子どもの成長にとって大事です。そのために、自分の思いや考えを相手を傷つけるような言い方じゃなく、相手にわかりやすく伝えるスキルと相手がどう思っているかっていう本音をきちんと聞ける聞き方のスキルと両方が必要です。話し合いをするためにスキルを身につける。根底には「問題所有の原則」という考え方があります。このメソッドではその人の悩みや問題っていうのはその人に所有権がある、だからその所有権を勝手に取り上げて、私が解決に乗り出すっていうことは、相手は自分で解決できる力を持っているのにそれを信じていないということになるし、その人自身のあり方みたいなものを尊重してないことになる。だから他者の問題は取り上げてはいけない。その人が自分でその悩みや問題を乗り越えていけるように支援するだけでいいんです。その支援の仕方っていうのは丁寧に話を聞くことなんです。

逆に自分が問題を持つ場合、例えば相手が言っていること、やっていることに対して嫌だなとか困ったなと思った時にはそれは自分にその問題の所有権があるから自分が解決していく責任があるという考え方ですよ。

上村:なるほど。

瀬川:だから、それは率直に相手に「あなたがやっていること、言っていることに対して私は違う考えを持っていたり、こんな気持ちになっていたりするんですよ。なぜなら、こういう理由があるからです。」という伝え方をしていくことで、相互理解を求めていくというやり方です。それが相手を尊重するということだし、自分も尊重するということなんです。相手も大切だけど、自分のことも大事に思っているということです。

上村:自分を尊重する、相手を尊重する、相手を信じる、いいですね。

上村:相手のおこなっていることに嫌だと言うって勇気がいるじゃないですか?

伝え方が大切

どうしても引っ込んじゃうでしょ?言わずに済まそうかな?これ言ったら嫌われるかな?とかね。相手を傷つけるかもって変に遠慮して、言わない選択ももちろん場合によってはあると思うんですよ。でも自分が言わないことでいつまでもその問題は解決しない場合もあります。相手は私を困らせようとして何かしているわけじゃない。相手は欲求に従って何か行動したり、言いたいことを言ったりしているだけなんです。でも、そのことが私にとっては私の欲求の妨げになっているなら、それを正直に言わない限りテレパシーじゃないんだから相手には伝わないですよね。

「あなたがやっていることで、実は私こんな影響を被ってこんな風に困っているんです」と伝えないと伝わらないですよね。

自分の正直な気持ちを伝えて、初めて次のステップにいけます。「私が言ったり、やったりしたことがあなたに迷惑をかけていたんですね。でも私は私でどうしてもこの道を行きたいんですよ。あなたとはちょっと考え方違うかもしれないけど」と相手も本音を言ってくれればそこで対立が起きても正直にお互いが本音を語ることでようやく「何が違っているのか」というのが見えるわけじゃないですか?

上村:ここでようやくテーブルに乗ると。

瀬川:そうテーブルに乗るという感じですよね。だから自分から正直にならないと相手が考えていることも見えないのでやっぱ勇気を出して伝えるって大事なことだなって思います。

上村:「これを言ったらどうなるだろう」とかって、「嫌われたらどうしよう」っていうふうに自分に矢印が向いているんですよね。そうではなくて嫌われる事より、相手にとってどうなのかっていう視点で考えると勇気や思いやりが出てくるなぁっていうのが最近私も感じます。

瀬川:言ってあげないと気がつかないことってたくさんありますよね。だから言ってもらえることはとてもありがたいですよね。

上村:本当にそう思います。そのことを知ってから私も仕事や日常の振る舞いにおいても周りの皆さんからフィードバックをリクエストできるようになりました。お相手との信頼関係が出来ていてその方のあり方、パーソナリティも分かっているから言えるというのもあります。「愛ある批評家」っていう言葉がありますけど。きちんと愛を持って自分のことを指摘してくれる方が近くにいるっていうのとてもいいなというのは本当思います。

瀬川:そうですよね。ただね、その愛の表現の仕方がみんな下手なんですよ。

上村:なるほど。

瀬川:だからスキルが必要ということなんですよ。

あり方を伝えるための「スキル」

上村:そうか。「あり方」で言いますと瀬川さんがお子さんに対して「あり方」として愛しているはずなのに全然伝わらないっていう経験はまさに「スキル」が必要だったってことだったんですね。

瀬川:そうなんですよ。上司と部下も一緒だし、これから若い人たちが社会に出て働いたときに上司から色々なこと言われると思います。でもその根底には多分、「こいついじめてやろう」とか、そういうパワハラ的な人って中にはいるかもしれないけど、あんまりいないと思うんですよ。根底にあるのはやはり「この人育てよう」とか「良くしてやろう」と思って言っているのだと思うんです。だけど、その言い方が一方的に相手を責めるような言い方をしてしまうからパワハラって言われてしまうんですよね。そして受け取る側もそういうふうにパワハラだって受け止めてしまうんですよね。

上村:そうですね。一方通行なコミュニケーションですよね。

瀬川:そう、一方通行のコミュニケーションになってしまうんです。やはり相互理解にならないとせっかくの愛も愛として伝わらないです。

インタビューをおこなっての所感

コミュニケーションを教えておられるプロとしての視点を惜しみなく教えていただきました。

相手に伝えたいのに伝わらない。
日本人は「察する」という素敵な文化、特性もありますが、やはり思ったことは伝えないと誤解が生まれます。
あなたは思いを伝えてくれた人に対して嫌な感情が湧きますか?
あなたが大切に思っている人と上手くいかないのは一方通行なのかもしれません。

より良い関係性の構築、関係性の改善のきっかけにしていただければと思います。

次回のお知らせ

次回でこの回は最終回になります。
この取組は当初は学生や若者に対しての生き方の選択肢を広げるためであり、素敵な大人、カッコいい大人を知ってもらって、大人になりたくなることやそんな大人と出会うきっかけになればと思い、このインタビューを始めました。

次回はそんな若者へのメッセージですが、全ての大人にも大切なメッセージも含まれています。次回もお楽しみください。

瀬川さんのnoteご紹介

こちらに瀬川さんのnoteで紹介されているゴードン・メソッドの記事を記載させていただきます。非常に参考になる内容ですので、皆さんも一読ください。

ゴードン博士の『親業』の本から私が1人の親として、またこのメソッドを伝えるインストラクターとして気づきや感動をもらった文章をシリーズで投稿しているnoteをマガジンにまとめました。

瀬川さんのnote記事より

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瀬川:だからスキルが必要ということなんですよ。

上村:そうか。「あり方」で言いますと瀬川さんがお子さんに対して「あり方」として愛しているはずなのに全然伝わらないっていう経験はまさに「スキル」が必要だったってことだったんですね。

瀬川:そうなんですよ。上司と部下も一緒だし、これから若い人たちが社会に出て働いたときに上司から色々なこと言われると思います。でもその根底には多分、「こいついじめてやろう」とか、そういうパワハラ的な人って中にはいるかもしれないけど、あんまりいないと思うんですよ。根底にあるのはやはり「この人育てよう」とか「良くしてやろう」と思って言っているのだと思うんです。だけど、その言い方が一方的に相手を責めるような言い方をしてしまうからパワハラって言われてしまうんですよね。そして受け取る側もそういうふうにパワハラだって受け止めてしまうんですよね。

上村:そうですね。一方通行なコミュニケーションですよね。

瀬川:そう、一方通行のコミュニケーションになってしまうんです。やはり相互理解にならないとせっかくの愛も愛として伝わらないです。


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