根室・納沙布岬に北方領土を見に行く小さな旅(2023年9月。写真中心。その3―根室市北方領土資料館―)
小さな旅の一日目、曇り空の中納沙布岬とその周辺を見学し、北方館と望郷の家を見学してから、根室駅と納沙布岬を結びバスの停留所のすぐ近くにある根室市北方領土資料館を訪れた。受付で以下の根室市長発行の証明書を貰った。これを見て納沙布岬が「日本本土」(証明書に定義されている)における最東端に位置することが分かる。
この資料館は、一階と二階に分かれ、一階には北方領土の自然を表現する様々なパネル、オブジェ、剥製等が集められており、それらに興味を持つ人や子供にも楽しめるようになっている。勿論北方領土に関する詳細なパネルも展示されている。
説明パネルの下に大きな地図を見ることが出来る。
北方四島を一望出来る。
江戸時代からの北方領土の歴史が辿られ、
北方領土返還要求運動の様々なイベントが紹介される。
特に、北方領土資料館では、ソ連による不法は対日参戦に始まる北方領土問題と、その後の北方領土返還要求運動に関する詳細な年表を見ることが出来、これによって北方領土問題の全体を把握出来る。
日ソ戦争における北方領土不法占領の経緯に関する詳細な資料が展示されている。それぞれの島へのソ連軍艦の上陸の写真が残されている。
択捉島の村長からの電報の写真とその解説が展示されている。
国後島の村長によるソ連軍上陸を伝える電報の写真と解説もある。
本記事その3その他でも紹介した当時の根室町長安藤石典の詳細な説明もある。安藤は鳥取県出身で、警察署に勤務して北海道に渡ったことが分かる。
私にとって興味深い神社の詳しい資料もあった。
北方領土の神社は、本記事その3で紹介した高田屋嘉兵衛に由来することが分かる。
色丹島の色丹神社の説明であるが、別のところにもしばしば現れるシロナガスクジラの鯨骨で鳥居が作られていたことが有名であるらしい。
北方領土資料館では、関連資料を求めている。
こんな資料も置いてあった。
子供達や人々の声も多数集められていた。
様々な記事が根室市の中学生によって書かれている。
これは根室の北方の標津の標津小学校の学級新聞である。
来館者も掲示板に自由に意見を書ける。
クローズアップさせてもらいます。
北方領土に関連する映画の紹介もされていた。
下は、山本有三原作、内田吐夢監督による昭和11年の映画のポスター写真。
次は、西久保瑞穂監督による2014年公開の『ジョバンニの島』の解説パネル。
映画が紹介されているだけでなく、北方領土資料館の二階には、こんなミニシアターがあった。席も数十あり、本格的な小映画館である。
ここで、『エトピリカ』という30分程度のアニメーション映画が上映されていたので、鑑賞した。
現代の一人の女子高校生がある時交通事故に遇い、夢の中で時々祖母に聞かされていたのとそっくりの島に来ている。(どうやら彼女は祖母自身になっているようだ。)そこは美しい自然に満たされた択捉島で、彼女は家族、そして一匹の犬と暮らしている。戦争が終わる頃、突然ソ連軍が択捉島に侵攻し、平和な生活は終わる。生命が奪われることは避けられたが、危険な抑留生活が数年続く。その後、ようやく日本への帰還のチャンスが巡って来、小さなボートで一家や近所の人々が逃亡を図る。犬を置き去りにせざるを得ない。海の中をボートを追い掛けて来る愛犬の姿を見て彼女は泣きじゃくり、海の底に落下して行く・・・目覚めて、自分が両親に見守られ、病院にベッドに寝ていることに気付く。その後、祖母らと納沙布岬を訪れ、祖母の兄が、夢の中のあの若いお兄さんだったことに気付く。
この映画の監督等の情報を以下に示す。
資料館では、関連する文献も多数見ることが出来た。
根室市北方領土資料館の窓から道路が見えるテーブルに座り、パソコンで資料を整理しながらバスを待った。
根室方面に行く路線バスに乗った。途中、再び歯舞地区を通る。写真を撮れなかったが、小高い丘の上にある歯舞神社の鳥居も見た。
その日は根室グランドホテルに泊まった。
ちょっと古いホテルで、禁煙室と喫煙室が分かれていないということで不安だったが、念のため予約する際に書いておいたせいか、部屋は煙草の臭気は殆どなく、昔風の広い部屋で寧ろ快適だった。駅から徒歩五分、ホテルのすぐそばにスーパー、ドラッグストア、コンビニもある。その夜の根室はかなり強い降りの雨だった。ホテルの最上階(八階)は展望ラウンジになっているということなので、行ってみた。但し、五階から八階の間は階段しか使えない。
雨夜の眺め。すぐ前がスーパーと駐車場になっている。
ホテルのロビーにはいろいろなものがあった。中でもこの神輿は珍しかった。
海豹達もいた。
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