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哲学教室 [中学生の部] (2月2日実施)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。
https://narranarra-school.myportfolio.com


2月2日(木)に哲学教室(中学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。



◉『ガリバー旅行記』とは何か、スウィフトと時代背景
2/2に確認した内容:
・初版発行時はガリバー船長が書いた物語と偽っていた
・ニュートンやバッハはスウィフトと同時代の人物であり、近代はヨーロッパ人が作った
・人間中心主義とは欧米中心主義であり、世界を制覇していくイギリス人の象徴がスウィフト
・ガリバーは戦争で活躍するが、当時のヨーロッパも圧倒的な軍事力により覇権を握っていた

語り合った内容、意見等:
・デジタル社会についての印象
・15世紀頃の地図にはアメリカがない
・なぜ人間が有用な存在にならなくてはいけないのか、その原因
・ウクライナ侵攻を含む世界情勢の行く末、常任理事国の在り方
・『ガリバー旅行記』から戦争の乗り越え方を学びたい

次回実施予定日:2月9日(木)




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

最近気になることについて発言する流れから、デジタル社会の話になりました。
確かに、デジタル用語ってカタカナばかりですよね。
日本語にして欲しいと私も思いました。
その他様々な発言がありましたが、中学生の参加者さんも大人の私たちも、デジタル社会に対して感じていることは案外一緒なのかもしれないと思いました。
そのことがとても意外で、そしてなんだか嬉しい気持ちになりました。

スウィフトと同時代を生きた人物について、中村が問いかけと共に肖像画を提示する場面がありました。
間を置かず「バッハ」と返答されていたのは、やはり楽器演奏ができる参加者さんだからですね。

ガリバーが書いた旅行記とスウィフトが偽っていた点について、「紀貫之みたい」と参加者さんが発言されていました。
そこで紀貫之の名前が思い浮かぶ参加者さん、凄いと思いました。
挿絵に描かれた懐中時計から時間の測り方の話題になった時も、参加者さんの博識ぶりに圧倒されました。

なぜ人間は有用な存在でならなくてはいけないのか。
経済学者の井上智洋氏による『midnight critic  なぜ我々は有用性を測られる存在なのか?  ―軍事革命・資本主義・ヨーロッパの病―』を引用して、その原因が戦争であると中村が説明していましたが、衝撃的な内容でした。
戦争は歩兵ありきであり、戦争において歩兵が優秀であることが大事。
技術発展の著しい現代においても、結局のところ歩兵が要であり、人が大量に亡くなることは昔と変わらないという現実を痛感しました。

終盤はウクライナ侵攻を含む世界情勢の話になりましたが、「誰かが止めなきゃいけない」「武器供与は以ての外」という参加者さんの発言がとても印象に残りました。
常任理事国の在り方や選出方法についても、色々と考えされられました。
そして世界の国々を地政学的観点から考察する試みも、それが軍事戦略と密接に結び付くことが分かり興味深かったです。

『ガリバー旅行記』から戦争の乗り越え方を学んでいくように、文学作品を読むことが学びに繋がるという中村の説明はその通りだと感じました。
世代を超え読み親しまれている優れた作品には、あらゆる問題に対する答えが詰まっているのかもしれないと思いました。

今の世界情勢を踏まえて、日本という国自体もそうですが、私たち一人一人が何を指針として今後生きて行くか。
有用な存在、人間の価値とは何か。
とても重要なテーマなのですが、あまり考えることなく漠然と日々を過ごしてしまっている気がします。
今後、中村や参加者さんと一緒に考えていけたらと思いました。

そんなことを色々と感じながら、興味深く拝見いたしました。
次回も楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。

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