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哲学教室 『ガリバー旅行記』編 [中学生の部] (5月14日)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。

https://narranarra-school.myportfolio.com/


5月14日(日)に哲学教室(中学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。


◉『ガリバー旅行記』第2部のまとめ、第3部第1~2章が風刺する内容等
5/14に確認した内容:
・スウィフトは作家であり、言葉の魔術師のような天才的詩人でもあった
・ブロブディングナグ国には、イデア、実体、抽象、超越といった哲学概念が存在しない
・画家のパウル・クレーは、抽象という概念を言葉ではなく絵画で表現しようとした抽象画の先駆者の一人である
・無意識は、フロイトによって20世紀以降に生み出された概念である
・ブロブディングナグ国民は戦争を嫌う平和主義な善人だが、抽象等の哲学概念を持っておらず、狭い世界でしか生きていけない人々でもある
・ラプータ人が非常に無駄なことに頭を使っていたり、目が内側と上を向いており正面を見ることができないところは、スウィフトらしい鋭い風刺の表現である

語り合った内容、意見等:
・言葉遊びの才能は一般的な大人になると失われていくので、自由な発想を子供時代に蓄えておいてほしい
・国語が一番重要な科目であると言われており、国語ができなくなると他教科も成績が下がる
・豊かな詩の世界や自由な言葉の世界を知ることで、一般の人が発想できない領域を持つことができるようになる
・世界を変えた武器として挙げられるものは何か
・第3部を読んだ感想
・ラプータ王と小姓の挿絵から何を感じるか、ラプータ人は何を意味していると思うか
・スウィフトの生きた時代まで信じられていた天空の音楽は、実在すると思うか
・宇宙人は存在するのか
・『ガリバー旅行記』はたくさんの人々に読まれている古典的存在であり、本質的なことが書かれている作品であることから、人類が将来ラプータ人のようになっていく可能性があるかもしれない
・宮崎駿の映画『天空の城ラピュタ』は、『ガリバー旅行記』第3部だけではなく、スウィフトの考え方を含め作品全体から影響を受けているのではないか
・『天空の城ラピュタ』を再視聴する機会がある時に、『ガリバー旅行記』から影響を受けた部分について考えてほしい

次回実施予定日:5月28日(日)




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

最初に、参加者さんが自作の詩を朗読してくださいました。
情景がすっと目に浮かぶと共に、静寂の中に広がる壮大な世界を感じさせる素敵な詩だと思いました。
人口と自然、小さいものと大きなもの、短時間と長時間といった対比の表現も素晴らしいと感じました。
参加者さんの詩は才能溢れるものばかりで、毎回驚きながら拝聴しています。

続いて、第2部の内容を挿絵と共に振り返りました。
世界を変えた武器として挙げられるものは何かについて、中村が質問していました。
「原子爆弾」と真っ先に参加者さんが回答されていましたが、人類の歴史に最も影響を及ぼした兵器のひとつだと私も思います。
更に、戦国時代を終わらせた「鉄砲」、最先端の武器である「サイバー攻撃」と次々と回答されていました。
武器というものがこれだけ数多く生み出されてきたということ、そして人類の歴史は武器と共にあるのだということを改めて感じました。

第3部を読んだ感想について中村が質問していました。
宮崎駿の『天空の城ラピュタ』は、ラプータが登場する第3部から着想を得て作成された映画ですが、「『天空の城ラピュタ』とはまた少し違うので、新鮮だった」「『天空の城ラピュタ』の方は纏まっているけれど、『ガリバー旅行記』は続きが気になる感じでどんどん進んでいく」と参加者さんが回答されていました。
『天空の城ラピュタ』のイメージで第3部を読むと、確かに想定外の内容で少し驚いてしまいますよね。

中村が挿絵を提示しながら、第3部第2章までの内容を説明していました。
ラプータ王と小姓の挿絵から何を感じるかという質問に対する参加者さんの回答は、国連と世界各国の関係に例えたものであったり、生産性に言及していたりと、成る程と感じる鋭い内容でした。
そして中村の発言にありましたが、このようなラプータ人の描写もスウィフトらしい表現だと思いました。

そのようなことを色々と感じながら、興味深く拝見いたしました。
今回の内容を踏まえて、機会がある時にまた『天空の城ラピュタ』を観てみたいと思います。
次回の内容も楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。


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