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魔王が去っても苦難は続く『ロメリア戦記〜伯爵令嬢、魔王を倒したあとも人類やばそうだから軍隊組織する〜』

こんにちは!女性向けなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。




今回紹介する作品はこちら!
『ロメリア戦記〜伯爵令嬢、魔王を倒したあとも人類やばそうだから軍隊組織する〜』です。

この物語は婚約破棄モノではあるものの、一般的な作品よりもかっちりした印象を受けると思います。

婚約破棄だけでなく戦記ものであり、主人公が聡明だからこそ周りとのつながりの演出がしっかりとしていました。

そのため、私も時間を忘れて黙々と読み進めてしまいました。
今回は3巻までを読んだ状態でのレビューとなります。

では、まずはあらすじから参りましょう。

あらすじ

「ロメ、いや、ロメリア伯爵令嬢。君とはもうやっていけない。君との婚約を破棄する。国に戻り次第別れよう」

アンリ王子にそう切り出されたのは、念願の魔王ゼルギスを打倒し、喜びの声も収まらぬ時であった。

しかし王子たちは知らない。私には『恩寵』という奇跡の力があることを

何もしていないパーティメンバーと思われた……

魔王討伐の任を与えられた王子と共に冒険していた主人公のロメリア。
しかし、本人に戦う能力はなく、もちろん治癒の力もありません。

戦えない彼女の存在は、裏でパーティメンバーを支え、進んでいくために必要なのです。

その能力は、情報収集や資金管理と地味ではあるけれど、とても大切なもの。何事にも、地味な仕事ほどとても大切なんですよね。

だからこそ、欠けてしまうと途端に崩れてしまいます。
地味なので表立って戦う戦士たちよりも軽視されがちであり、褒められることも稀。ロメリアが支えてくれていたからこそパーティは進行できたのです。


魔王が討伐されたあとも、王子の婚約者としてパーティに参加していたロメリア。

しかし、戦闘に参加できないことがネックとなり、無能だと思われたのでしょう。
突然の婚約破棄を言い渡されます。


ロメリア自身、あまり王子に気持ちを向けていなかったため、そこまでショックは受けていません。

しかし、この後を考えて少し憂鬱な気分になるのでした。


私としては、こういった縁の下の力持ち的なポジションは好きなので、ロメリアが素敵な人だなと思います。

しかし、作中ではなかなかそう思ってもらえていないようで……。


自分の考えをきちんと持っている彼女は凛とした素敵な存在だと思いますよ。

まぁ、見方によっては「可愛げがない女性」と見られてもおかしくはないのかもしれませんが。

彼女が持つのはとても小さな奇跡

戦う力を持たない彼女が王子たちと行動していたのには理由があります。
それは、「恩寵」という力(スキル)を持っていたから。

王子たちが旅立つ前日、祈りを捧げているなかで荘厳な声と共に与えられた力、恩寵。

この力は、「周囲の仲間に幸運と好調をもたらし、敵対する者に不運と不調をもたらす」というものです。

いわゆる、小さな幸運を彼女が周りに与えられるという代物。
……なかなかすごい力だと思います。

パッと見て小さな力ではあるものの、相手にとっては絶大な力となって返ってくる。
絶対に敵に回したくない能力だなと感じます。


そして、婚約破棄の後に辺境の土地へと赴いたロメリア。
その砦から、少しずつ魔王討伐の後の掃除に取り掛かるのです。

まずはじめに、自分だけの軍を作るために新兵を集めて訓練させます。
そして、その土地の財務関係の整理を同時進行で行う。

動き出す下地を作ってからその土地で問題になる魔物を討伐し、戦闘の実績を積んでいくロメリアたち。

そして、魔王軍の偵察隊を倒した際、数名が大怪我を負います。
もちろん、ロメリアも小さくは無い傷を負ってしまうのです。


自分も前線に出て指揮を取る姿は、とても凛々しく格好良かったです。
しかも、自分の持つ能力を理解しているからこそ、どう立ち回れば仲間たちを無事に勝たせることができるかを考えて行動できます。

その覚悟の決め方も好感の持てるポイントです。
あんな格好いい指揮官であれば、ついて行きたいですから。

軍は着実に大きく成長する

ロメリアと新兵たちの活躍により、軍は着実に大きく成長していきます。
そして、商人との繋がりや回復を行う癒やし手たちとの縁も確保できたことで、軍そのものの安定感が増していく。

また、同時進行で元々この辺境の土地を仕切る領主の横領や武器の横流しなどの不正を暴き、捕らえることに成功。


周りには一見何をしているのかわからなくとも、最終的には大きな結果に結びつき成功を収める。
この話の運び方は、読んでいてとてもスッキリします。

自分よりも周囲の平和や安心のために行動できるロメリアは、王妃として十分ふさわしかったのだと思います。

まあ、ロメリアの話も周りの話も聞かない王子には誰もついていきたがらないとは思いますが……これは付ける薬がないです。

実際、貴族や軍の信頼が厚かった人物を自分の感情だけで更迭してしまいましたし。
そりゃあ、軍内部から命を狙われるでしょう。

自業自得といえばその通りですが、王子という立場の人なら、周りの考えている物事に裏があることぐらい疑うのでは?

もちろん、そういったドロドロしたものと無縁な世界で暮らしていたのなら、話は別ですが……。


王子は絶対に婿には取りたくないし、嫁にも行きたくない存在かなと。
私個人としての意見としてですが、さすがに好感は持てないかなぁ。

おわりに

この作品は女性主人公のコミックではありますが、とても堅実な作品だと感じます。
それに、周りにいる新兵たちもなかなか曲者揃い。

読み進めていくうち、トントン拍子に物事が実を結ぶ様子を見ていると、安心感と共にワクワクした気持ちとなります。

聡明で行動力のある主人公の行動がとても楽しいと感じますよ。


それでは、今回はここまで。
また次の作品でお会いしましょう。


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