農業の知識を力に変える!『がんばれ農強聖女~聖女の地位と婚約者を奪われた令嬢の農業革命日誌~』
こんにちは、女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。
今回紹介する作品はこちら!
『がんばれ農強聖女~聖女の地位と婚約者を奪われた令嬢の農業革命日誌~』です。
婚約破棄と同時に経済や農業系に特化した作品となっています。
恋愛要素はありますが、通常の女性向け漫画よりは薄めの仕上がりです。
では、まずはあらすじからまいりましょう。
あらすじ
私――アリシア・ハーパーは、華やかで愛らしい双子の妹のノエルと違い、地味で可愛げのない女。
それ故に十歳から次期聖女として勉学に励んだのに、両親に愛されることがなかった。
昔から両親はなんでもノエルの望むままに私からむしり取り、妹に与えた。
そして今回は聖女としての地位と、私の婚約者であったユリアン王子さえ、私からむしり取った。
聖女の地位を妹に譲った私が妹を送り出す際、私は妹のノエルと元婚約者であったユリアン第一王子に裏切られていたことを知る。
人間不信に陥っていた時、私の農業の知識に目をつけていた「黒幕辺境伯」ロラン・ハノーヴァー令息に求婚された私は、遠くハノーヴァー家へと嫁ぐことが決まった。
そう、信じていた人間に裏切られ、傷ついた私にも、たったひとつ残されたもの。
それは先代の聖女様から叩き込まれた「農強」の知識だった。
そんなわけでハノーヴァー領の農政のブレーンとして奔走するうち、全幅の信頼を寄せてくれるロランに、私はいつしか心惹かれていく。
今までの努力は報われないこともある
主人公のアリシアは生まれながらに公爵家の長女として、そして次期聖女として努力を積み重ねてきていました。
そんな中、次期聖女の地位を妹に譲るように言い渡されます。
聖女候補に指名されたアリシアは、次期聖女の立場がどれだけ重いのかも理解しているからこそ、妹のノエルがふさわしくないことを主張します。
しかし、ノエルの言葉を鵜呑みにし、叶えてきたのは両親です。
そのため、アリシアの努力や立場、想いをさんざん踏みにじってきた。
正直、こういった婚約破棄ものは主人公がスタート時点でかわいそうな目に会うことが多いです。
だからこそ、報われた時にスカッとしますし、喜びが生まれてくるものですが……。
心をへし折ろうとする容赦のなさが時にきついですね。
この作品は軽めだとは思いますが、不憫な扱いを受けてはいるのは確か。
普通の人間であれば心が折れていても仕方ない場面だと思います。
親としての立場から見ても、子どもが姉妹の場合、一般的には妹が可愛いがられる傾向が多いです。
でも、私的見解として、妹よりも姉の方を大切にしてあげたいんですよね。
その理由は、先に生まれた姉や兄は我慢をずっとしてきているから。
だからこそ、その我慢を受け止めてしっかりと甘えさせてあげたいと考えています。
もちろん、これは理想論ですし、うまくいかないこともままあります。
綺麗ごとだけでは、生活はできませんからね……難しい。
現状から脱却するために北へ……
聖女候補から外れ、婚約をしていた王子からも見放された状態でアリシアが行く先は、北の地です。
そこは、ハノーヴァー家。
王家と関係を持つとされる人物との縁談を作ろうと、忠臣であるメイドのリタから進言されます。
そのため、まずは今まで家の外に出すことに渋っていた両親を説き伏せます。
そして、婚約に関しても自分の領地をみてもらってからだとレンタルされることに。
相手方は婚約したいとは言うけれど、まずは自分の土地や状況を把握してもらってからでも遅くないと、余裕を見せてくれています。
そして、実際にその領地へと向かう中で見えてきた飢餓の爪痕。
聖女候補として先代と一緒に行動していたアリシアは表情をゆがめ、「ここで何ができるか」を考えます。
そういった姿勢は、とても好感が持てますね。
聖女候補としてさまざまな知識を叩き込まれ、同時に考え方もしっかりと受け継がれているからこその姿勢です。
それを領主であるロラン・ハノーヴァーも理解しているため、信頼と好意を向けてくれます。
2人の好みや思考が似通っているからこそ、「自分にはアリシアが必要だ」という言葉が会話の中ですんなりと出てくるという。
飾り気のない気持ちはまっすぐで、受け止めやすいもの。
それに、そういった思いほど、相手に届きやすいです。
だからこそ、一方で妹が姉への勝利宣言を見ても、読者側からはとても滑稽に見えるんですよねえ。
今までの知識が実を結ぶ
ハノーヴァー家の領地へと向かった後、その土地がどれだけ痩せているか。そして、現状の打開策を一緒に探してほしいとロランは願い出ます。
そのまっすぐさは自然と笑顔を増やしてくれますし、アリシアも自分の知識や能力が活かせることが嬉しいと実感するのです。
また、驚きの事実も明かされます。それは、ハノーヴァー家は先代聖女の故郷ということ。
自分の屋敷に今まで勉強してきた蔵書が図書室として保管されていて、その様子にアリシアも驚くことに。
まずは土地を知ることから始めるために、その蔵書をしっかりと読み込み始めます。
そして、要点をいくつか挙げる中で重要なポイントを発見。
それが、「天候に左右されない農業」です。
山背(やませ)という冷涼な風が吹くからこそ、土地の気温が上がらず不作になりやすい土地の傾向があります。
だからこそ、この土地は軍事事業とワイン、鉱物で生計を立てています。
何か安定的な事業ができないかを考える中で、主人公はハチミツが利用できるのではないかと思いつくのです。
全力で農業や対策に乗り出すアリシアの行動力や発想に、読んでいてわくわくしましたよ。
というより、恋愛よりも農業発展とか、そっち系の話に詳しいことにドキドキしました。
いいですね。
恋愛だけでなくしっかりと主題をそらさずに進められるのは、素敵な作品だと思います。
おわりに
この先の展開はまだ読めていませんが、1巻を読了した後だと期待が高まります。
あと、ロランとアリシアの恋物語もどんな風に進んでいくのか楽しみです。
また、妹の方もどのように転落していくのかも期待しながら待っていようかなと思います。
……あれ、私、性格悪い?
今回はここまで。
また、次の作品でお会いしましょう。
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