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責任感が2人をつなぐ?『異世界の沙汰は社畜次第』

皆さんこんにちは。
女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。


今回紹介する作品はこちら。
『異世界の沙汰は社畜次第』、今回は1巻を読んだレビューとなります。



この作品を読んだ感想として、主人公の仕事への意欲高すぎでは?という思いが一番に来ました。

まずは、あらすじからまいりましょう。


あらすじ

近藤誠一郎は毎日仕事に追われる三十路目前のサラリーマン。

聖女召喚計画に巻き込まれ、異世界のロマーニ王国に転移してからも自らの"癖(へき)"から仕事を求め働き続けていた。

それが「氷の貴公子」と呼ばれる騎士団長アレシュと急接近するきっかけになり――。


大前提として、この作品はBL作品となります。
そのため、好みがざっくり分かれるとは思いますが、ご了承ください。


仕事人間が異世界へ……。

自分の誕生日の日にも真面目にコツコツ仕事を進めている主人公である近藤誠一郎。

彼は経理担当で、領収書とのにらめっこをずっと続けていました。
いわゆる、社畜と呼ばれる人種といえます。

しかし、その真面目な仕事ぶりは、なかなかできることではないのではと感じるのですが……そこまで考える余裕もなくなっている様子。

そして、作中で語られる体力が回復しないという感覚。
とってもよくわかります。

私自身、体感的に30歳を過ぎてからなかなか眠っても回復しなくなってきていますもん。

それに、思っているように動けなくなってきているようにも感じます。
ただ、ここで思うのは、主人公はちゃんと自炊するんだという点。

いろいろな作品で、特にBL作品だと受けの子は家事ができるかできないかはっきり分かれる印象があります。この子は前者ですね。

そんな彼が異世界召喚されそうになった女の子を助けようと共にトリップ。
余分に召喚されて手に余る誠一郎改めコンドゥが問われて答えた望みは「仕事をください」というものでした。

反射的に仕事を望むのは、もう社畜の鑑なのではと感じる部分もありますが、しっかりと生活したいという根底意識の表れなのかなと感じる部分もあります。

そして、王宮の経理課への就職を済ませてからの仕事に困惑。
今までカツカツな中での仕事をしていたからこそ、少し手緩いと思うコンドゥでした。

仕事をこなす中で、召喚された聖女から謁見の申し入れが舞い込むことに。呼ばれるままに向かってみると、彼女は自分が聖女であることに浮かれている様子。

大人として、彼女を諭すように自分の状況や意味を理解させようと冷静な判断を求めます。

しかし、やはり女性というのは自分が否定されたと感じた瞬間に激昂してしまうのでした。

感情的になるのは、女性の悪い癖ではありますが……まだ学生なのか、幼い印象が強いです。

それに、コンドゥに関してもだいぶひどい見方をしている様子。
まぁ、前提としてBL作品の女の子は当て馬になりやすいですから。

そういう立ち位置なのでしょう。多分。


宰相からも注目されることに

仕事をこなす中でコンドゥの書類作成の能力の高さに同僚や上司も納得し、認めてくれている場面が少しずつ増えていくのです。

その中でも、過去20年をさかのぼってまとめた収支報告書について、宰相は目を付けます。

しかも、聖女である女の子から聞いた内容を踏まえて「社畜」という言葉に興味を惹かれるという。

異世界から来て、自発的に仕事をしつつ時間外労働までする手駒。
確かに、魅力的だし、手に入れたくなるのも必然です。

しかし、この宰相……目の奥が笑ってない。
あれだ、絶対に敵に回してはいけないタイプの人間だ。

しかも、セリフのルビの振り方に悪意があるように感じます。
だって、「社畜(じんざい)」ですからね。

うわぁ……圧がすごい。
もちろん、仕事ができる人間なのも理解していますが、怖っ!

優秀さを買っているのもわかりますが、あの人の下では働きたくないな。


異世界の魔法がある世界ではおなじみのアレ

しかし、仕事人間であるコンドゥは同僚から心配されて渡してもらった栄養剤、ポーション的なものをがぶ飲みしている様子。

用法と用量を守っていなかったからの自業自得ではありますが、やはり魔法の世界では魔力過多とか、魔力酔いの展開は定番ですね。

その処置に関しても、BLらしくて個人的には好感が持てます。
魔力への耐性が低いからこそ、馴染ませなければいけない。
ならその方法は?

キスだけでは不十分。
だって、応急処置で使った魔法が強すぎたから。

なら、肌を重ねるしかないよね?という展開です。

確かに理解はできます。
描写もあまり直接的ではないので、読みやすい。
でも、どこか物足りない。

その理由は、この作品がストーリーの流れを重視しているからではないかなと思います。

恋愛要素の濃さよりも、物語の方に重点を置きたいのが感じられるんです。
……でも、それにしては舞台である異世界の説明が少し足りないように感じたかな。

あと、主人公の仕事=存在意義のような意識は、共感しづらいのかなぁなんて思いました。

社畜のキャラクターはBLや作品でもよく描かれますが、解像度が人によって違うから、描き方が難しそう。

それでも、この作品はまだ読みやすい方だと思いますし、なろう界隈のBLの中でも読みごたえはあるといえます。
個人的には、これからも頑張ってほしいところです。


終わりに

いやぁ、久しぶりにBLに手を出しました。
しかも、結構面白い作品だったと思います。

これは、今後もチェックしていきたい所存。
現在、6巻まで販売されておりますので、よろしければ皆さん手に取ってみてください。

BL苦手だよっていう方も、よろしければ。
あまりそういう要素はない感じですし、漫画家さんの技量もなかなか。

話としてしっかりしていますので、普通に読めるかなと思います。


それでは、今回はここまで。
また次の作品でお会いしましょう。



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