挑戦者
自分の中で成し遂げた事
なんだろうなと思い返す
学生時代に取り組んだスポーツで、大阪学生選手権優勝
自分なりにがんばった
でもそれと同じくらいに自分で自分を褒めてやりたいのとがある
それはCoCo壱番屋で10辛を完食したことだ
5辛から順に完食していき、ちょうど十年前の夏に10辛に挑戦した
今はなき弁天町のプールズで父娘と散々に楽しんだ後、娘に言った
「パパ、今からココイチの10辛に挑戦するわ」
娘からはあまりリアクションはない
プール終わりで少しお疲れのようだ
プールズ近くのココイチに入り、10辛をオーダーする
加えて半熟卵を2つ
娘にはオレンジジュースを頼む
「カレーハウスここに行こう 僕らの街の元気の源」
店内に流れるBGMは今日もご機嫌だね
カレーがやってきたよ
若い女性の店員だった
君は今までどれくらい挑戦者をみてきたんだい?
スプーンをとりだす
娘にはストロー
少しだけスプーンにのせて食べてみる
確かに辛い
なるほどこれだけでもこいつの強さがわかるんだ
でもいけないことはないよ
激辛のものを食べるにはコツがある
舌の辛さを感じる部分にのせないことが肝なんだ
舌の真ん中あたりにのせる
食べられる
俺はいける
テンション上げながら食べる姿を娘は不思議そうに眺めている
そうか
君はまだこの挑戦をした経験はないんだね
激辛を食べるには躊躇をしてはいけない
ガツガツといくんだ
後戻りはできない
勇気ある奴だけが生き残るんだ
辛いが予想の範疇内だ
良いタイミングで半熟卵を入れる
半熟卵は僕の友達なんだよ
頼もしい
え?半熟卵は反則だって?
知らないよそんなこと
俺は昨日の自分と戦っているんだぜ
他のプレイヤーなど頭にない
あぁ、舌にダメージがたまる
お腹が驚いている
内臓が蠢く
え?俺はお腹の中にヘビでも飼っていたかい?
いや、これは幻想なのか?
きっとここで諦める奴も多いのだろう
そうだね怖気づく気持ちもわかるよ
でも
でも
俺はやめるわけにはいかないんだよ
ライスを多めに食べすぎた
残りにルーの割合が多いけど諦めるわけにはいかないんだよ
スプーンをとめない
この瞬間は心臓をとめないと同義語なんだ
俺は今を生きている
一口
もう一口
あと少しだ
時空が歪んだのか
永遠に感じる時間もどうやら勘違いのようだ
10分程でなんとか完食
額の汗がすごいよ
無言で小さくガッツポーズ
娘は誇らしげに見ていたかな
俺はあの夏にやったのだ
娘との大切な思い出だよ
ただ最近、ココイチは20辛まであるみたいだよ
そろそろ挑戦をする時期かもしれない
いったん15辛くらいをいってみようか
それとも即20辛に挑戦だろうか
だいぶ悩む
いつチャレンジするかも悩む
平日か休日か
休日前の金曜日の夜か
まだ答えは出ていない
ただ1つわかっていることはある
もう娘は俺のこんなどうでもいいチャレンジには付き添ってくれないだろう