ショートショート「努々夢とは思えません」
僕は空を飛んでいる。なんて気持ちが良いんだ。
ならんで飛んでいる鳥がこちらに挨拶してくる。
「君は人間なのに空が飛べるんだね」
「そうだよ。飛ぶことは気持ちが良いね」
「そうだね、でも気をつけて。飛びたての人は落ちやすいから」
鳥の語気が変わった気がした。
「え?」
そう聞き返した瞬間急に鳥が上空へ舞い上がる。
いや、そうじゃない、僕が落ちているんだ!
手と足をバタバタさせて必死にもがいて見せる!
遠く離れた鳥が不敵に笑って見えた。
ドガッ
大きな音と体の鈍痛で目を覚ました。
「夢?」
体をさすりながら体を起こし時計を確認すると夜中の3時。不思議な夢だったなと思いつつ尿意を感じトイレに向かった。
寝起きと暗さからか足下がおぼつかない。
トイレで用を足す。
ヒヤッとして目が覚めた。
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