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いわゆるフジテレビ問題について考えていること

年末からずっと話題のこの話について、色々と考えていることはあれどあまり言語化できないもやもやを抱えており、今も整理はできていない。が、書く。

性接待、女子アナ上納、などあまりにもセンセーショナルな言葉で語られすぎていて問題の本質を見失いそうになるけど、この話をフジテレビだけの問題として捉えてよいのだろうか。

もともと「女子アナ」という存在自体が、なんとなくその人個人の能力よりも若さや外見で評価されることを前提としているようなイメージがあり、接待の道具として会社に利用されていましたというと何となく華やかな業界だけの特異な慣習のように感じてしまうけど、
得意先との関係強化のために飲み会をセットし、その場に女性社員も参加するように声をかけ(強制し?)、社員に対して得意先との個人的な連絡先交換や交際を斡旋する。そういったケースに言い換えると、ごくごく普通に起こり得るケースのようにも思われる。
もちろんだからといって仕事を盾に一方的に相手へ関係を迫ったり、ましてや暴力行為を働くなどということは断じて許されない。また会社ぐるみでそのようなことが常態化していたのではなく一部の社員による悪行だったのだとしても、権力を持つ人間の暴走を防げない、問題を外部から指摘されるまでもみ消していた企業の仕組みや体質も断罪されるべきだと思う。

私は幸いにもこれまでそういったあからさまな搾取をされた経験はなかったけれど、今回の問題を機にSNSではハラスメントで人生を狂わされた、そしてそれを晴らすことができずに自分の胸に長年抱えて生きることを強いられた経験を持つ女性の声をいくつも見かけた。もしかすると私の知らないところで友人や同僚が人知れず仕事をニンジンに搾取を受けていたことがあったかもしれない。
またそんな大仰なことではなくても、我々一般企業においても日常的に「女性がいるとやっぱり場が華やぎますねぇ」とか、「イケメンだから客先受けもバッチリだな」とか他人の年齢や容姿を道具のように扱い個人の尊厳を軽視するケースは割とある気がする。私もこれくらいのことならなんとなく特に若い頃言われたような記憶がある。

そういった社会が抱えてきた歪や誤った価値観が今回極端なケースで明るみに出ただけであって、決して対岸の火事ではないと思う。ここで「フジテレビってヤバいね」「マスコミ関係、芸能界隈って怖いね」だけで終わらせてしまっては、いつまでたっても同様のケースは後を絶たないだろうなと感じる。

私たちに何ができるのか。自分事に引きつけてどれだけ想像できるか。ここ数日ぼんやりと考えている。
もっとハラスメント内部通報みたいなのを積極的にやっていくべきなのかな、とか。明らかなボディタッチとかはこのご時世さすがに減ってきたと思うけど、日常会話などで相手の尊厳を傷つけたり軽んじたりするような発言を受けたり見聞きしたときにそれもきっちり通報したほうがよいのかな、とか。相手との関係に波風立てないようにやんわりと流してきてしまったことでも、きっちり相手にその場で指定したほうがよいのかな、とか。
いや、それができれば一番良いのだろうけれど、私自身をこの社会で生かしていくためには正しさだけでは丸腰すぎる。結局自分もこういった社会の風潮に加担している一部なのかと思うと情けない気持ちにもなる。

ちなみに余談ながら、アメリカでは社内恋愛がハラスメントに結びつくとして禁止されてるみたいなことを以前海外ドラマで見て、「えーどういうこと?」と不思議だったけど、今ならなんとなく分かったような気がする2025年…。

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