雨にもまけズ
優しい人を見れば余裕があるだけといい
強い人を見ればスマートでないといい
お前に何ができるのかと問われれば
やったこともないことをできるはずという
炎上には加担せず
決して怒らず
政治の話題には触れず
投票に行くことはかかさない
視野を広く持とうとして
多くの記事を読み
判断は先延ばしにし
誰かが正しいと言ったことを正しいと思う
自分が何者でもないことを恥じ
それでもなんとか特別になろうとして
何者でもないということを少なくとも
自分はわかっているのだということにすがる
わかっているというただそのことだけで
自分は特別であると自分に言い聞かせ
それ以上は考えようとせず
そうして自分を空っぽにしていく
決して比べられぬよう
人と違う目的を掲げ
身を隠し
穴に向かって叫ぶ
本当はわかっているのだ
特別でありたいという欲こそが
凡人の要素であり
不協和の元であるということを
本当はわかっているのだ
すべての人は特別ではなく
ただその人であり
比較の先に幸福はないということを
ああ
自然体でいることのなんと難しいことか
自分自身であることのなんと心許ないことか
「人はみな特別である」
「人はみな自由である」
「そのままのあなたでよい」
そんな台詞が聞こえてきても
いつも静かに笑っている
本当はわかっているのだ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい
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