花束みたいな恋をした
「はじまりは、おわりのはじまり」
◎キン肉マン並みの超人タッグによる小説のような恋愛映画
言っとくが、ここ最近の恋愛映画の中でも、圧倒的No.1作品だ!
今作の脚本は「東京ラブストーリー」や「Mother」、「最高の離婚」に「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、「anone」といった数々のヒットドラマを手掛けてきた坂元裕二。
監督は「いま、会いにゆきます」や「ハナミズキ」、「映画 ビリギャル」などを手掛けた土井裕泰。
この二人と言ったら、松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平主演のドラマ「カルテット」。四人の織り成す絶妙なバランスの人間ドラマは当時、見るもの夢中にする濃厚なドラマだった。
それ以来の映画では初タッグのこの二人。
いやまぁ、一発KO、顎スパーーン行かれちゃったよね←笑
まずこの映画、ヒットメーカー坂元裕二による完全オリジナル脚本ってのがシンプルに凄い。
観ている最中は、文学的なそのセリフ一つ一つから、てっきり原作があるものだと思っていたら、まさかまさかのオリジナル!
この人のお話って、何気ない日常に目を向けるのが本当に上手く、それを言語化できてしまう力、目の付け所が天才的。
彼の描く世界に、観ている側がすごく共感できるから、知らぬ間に心捕まれる。
また、今作の特徴の一つである、センスがえぐい数々の固有名詞。
押井守に天竺鼠、ゴールデンカムイや宝石の国、きのこ帝国、ゼルダの伝説、ストレンジャーシングスなど、こういうワード一つでキャラクターへの親近感が一気に近くなるし、渋谷パルコの閉店やスマスマの最終回など、同じ時系列を共有することで、映画への入り込み方が段違い。
個人的には、明大前や調布など京王線沿いが舞台なのが好感120%←
そしてこれらの細かく秀逸な一つ一つの金の粒を、少しも取りこぼさずに、素晴らしい演出で活かす土井監督の手腕たるや、感服です。
◎超人タッグに負けず劣らずの菅田将暉×有村架純の2000万パワーズ
この映画がこれほどまでに三ツ星料理になったのは、坂元裕二の完璧なるレシピとそれを作り上げる腕がある土井裕泰というコック、そして栄養満点、どんな料理にも合う食材の菅田将暉と有村架純があってこそだろう。
堺正章だって言うだろうよ「星、3つですっ!」
この何でもない”普通”のラブストーリーをいかに普通に見せるか、共感させられるかが肝だと思うのだが、この同い年コンビ、、流石っす。
菅田将暉と有村架純が醸し出す日常感が、凄く自然体で、だからこそそこには嘘はなく、ただまっすぐな麦と絹がいる。
彼らの織り成す言葉と色は、まさに花束のようだった。
でもそれは長い人生の数ある恋の一つでしかなく、決して映画やドラマの中だけの特別な話なわけではない。
観ている側の我々と同じ街で生きて、同じように過ごし、同じように恋をする。
それほどまでに、近くに感じさせる二人の演技力は流石としか言いようがなかった。
兎にも角にも、超絶怒涛におすすめ映画なので、ぜひ劇場で観てください。