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「新型コロナウイルスにマーケター・マーケティングはどう立ち向かうのか?」視聴レポート!体験と繋がりの時代へ

※本記事は、新型コロナウィルスの感染状況や医学的情報を伝えるものではありません。あくまで今の状況におけるマーケティングコミュニケーションについて述べているものです。

アドテック東京が素晴らしいテーマのコンテンツ配信を毎週やっているので、今回初視聴してみました。

マーケティングスクールmerc Educationの事務局として、これからマーケターはどのような価値を作り出せるのか、単純なモノとしてモノを売ることの限界をどのように突破する視点からレポートします。

2020年4月3日16:00~16:30
「新型コロナウイルスにマーケター・マーケティングはどう立ち向かうのか?」を配信! 
#adtechtokyo

<サマリー>
新型コロナウイルスの猛威は世界に広がり、日本においても東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まり、首都圏では「外出自粛の強い要請」がなされるなど、経済的な落ち込みの長期化は避けられない状況となりました。企業にとっては積極的なマーケティングコミュニケーション活動を行いにくくなり、生活者の行動やマインドも変化していくことが予想される中、企業がその社会的な責任を果たすうえで、どのような判断・行動が求められるのでしょうか?そしてマーケターは自らの持つスキルを、この状況でどう活かせば貢献できるのでしょうか? 今目の前にある課題だけでなく、中・長期的な予測も交えてディスカッションしていきます。

▼登壇者
・鈴木 健 氏(株式会社ニューバランスジャパン マーケティング部 ディレクター)
・長瀬 次英 氏(Pencil&Paper.Com株式会社 CEO、Visionary Solutions株式会社 CEO)
・古市 優子【MC】(Comexposium Japan株式会社 President and CEO)

まだ日常の延長である日本のコミュニケーション状況

最初の問いは「現状をどう捉えているのか?」から始まります。

B to Bマーケテティングに携わる長瀬さん
「まだまだこれから。トイレットペーパー買わなきゃ、とかは聞くが、情報が浅く、こんな時だからECが伸びるんじゃないかとか、そんな話をしている。広告は日常レベルの温度感で未だに出稿されている」

確かに、良くも悪くも日本の広告はまだシリアスな温度を持っていません。
海外のマーケティングコミュニケーションでは、広告の出稿はストップしているそうですが、一方でインフルエンサーが家で面白く生活するコンテンツを投稿し、そこにブランドが乗っかるような動きが出ています。

スナップチャットでもコンテンツの流れが変化しており、良い意味でいろんな実験や新しい試みが行われている傾向です。

日本では逆に、小池都知事がyoutuberにコンテンツ制作を依頼するような状況ですね。youtubeで日常的にコンテンツを消費する前提で動くのが日本のメディアコミュニケーションの現状です。

「そもそも日本ではデジタルテクノロジーを使うこと自体が新しく、今のコミュニケーション自体が新鮮なのではないか」と語る鈴木さん。

しかし、コミュニケーションスピードの重要性に長瀬さんが言及します。

「一ヶ月前に記事を書いた時は、経営者向けに売上が下がってキャッシュがなくなるから、早いアクションをするように言っていました。即対応していればPR的なソーシャルバリューを出せたが、今では全然遅い。逆に何かしなければならない。」

今年の売上が見えにくい中、経営者はコストカットする動きが強まっていくと考えられます。アメリカはレイオフをさらに進めるでしょう。
そんな中でマスクを2枚配布する日本は、なんか平和な感じがしますね。

しかし、いつ広告出稿が止まり、広告予算がカットされるのか代理店は本気で考えたほうがいいと思います。

海外では企業や個人が人を救おうという動きも始まり、女優がウイルスの研究に投資したり、ニューバランスはマスクを作ったり(!)と次の段階に進みつつあるようです。
メーカーは医療従事者に提供する防護服(PPE)の一般提供を検討しており、プロフェッショナルな知識が必要なので慎重なメッセージを作り込んでいるのだそうです(知らなかった・・・!)。

私たちは何を備えておくべきか?

今の日本は海外事例から学べる猶予期間であるとも言えます。今、何をすべきか備えるべきことについてテーマが移っていきます。

鈴木さん
「昨日制作会社と話しました。秋冬に配信するための撮影がちょうど今なんですけど、撮影にGOを出せる人たちが現場にいない。現場の人たちは忠実に仕事をするけど、俺の仕事どうなるんだろう、となってしまい決断できる人がいない。こんな時はインターナル社員向けのメッセージが重要です。今こそ、我々の会社は何を持って社会に存在するべきか、プリンシパルを社内でコミュニケーションするべき。

なるほど、、、。確かに有事の時こそこんな時は共通認識とコミュニケーションラインが重要ですね。
特に、この状況をサバイブしたあとに、自社はどういうポジショニングをするのかが全て。そこを目指してどのような生き方やベクトルで向かうのか。

海外の企業も勉強しつつ、マーケットの動きを把握しながらいくつかのシナリオをシミュレーションすることは、マーケターの最も重要な仕事なのではないでしょうか?

今ウォッチするべき情報とは?

直近取るべき対策に関してはアメリカとEUの先行事例から学び、回復した後の動気は中国での動きを見ているそうです。
アメリカではコロナショックが消費の価値観を破壊するんじゃないかと議論されているようで、End of Consumerへ向かうと予測されています。

僕もここは強く同感しており、消費者とマーケターの関係に境目がなくなっていくだろうと考えています。
コロナの影響を受けた方のスマホに陽気なダイエットサプリの広告が表示されたら、どう感じるでしょうか?
匿名の人と企業の分断されたコミュニケーションを繋ぐ"共通のストーリー"が存在する今、買わせる側と売り込まれる側の関係性のままではいられないでしょう。

また、ここで長瀬さんと鈴木さんはデジタルマーケターの存在意義に関して重要な言及をします。

「いつロックダウンが起こるのか、ものすごい量の情報が氾濫している。
確かな情報を見つけるのが苦労するネットの世界では、マーケターがデジタル情報を扱う必要がある。
ソーシャルとかオーガニックでキーワードを拾って常に最新の情報を整理してくれるダッシュボードとか、海外から学べる情報を整理する人。もしくは昔、こういう疫病やリーマンショックの時に同じ動きをしているが、その時と比較分析して何ができるのか。」
「新しい情報がどれか、信頼できるソースがわかりづらい。
情報収集としてはSNSに偏っている。また、コンサルティングファームがまとめているレポートが客観的ですごくいい。
こんな時こそプリンシパルが明確な情報があると助かる。」
「グローバルリスクはチャンスでもあるので、良い経験に変えていきたい。企業は今あるものを大事にしよう。急な新規ビジネスローンチとか、そういうんじゃなくて、自分たちのビジネスの基本に立ち戻り、事業を見つめ直す機会になる。
例えば、店頭に来ないぶんお客さんとどうコミュニケーションをするのか。メルマガとLINEでやたら繋がろうとしてくる企業の動きが増えている。」

これからのマーケターは情報ウォッチャーで終わるのではなく、本当に必要な情報を整理して繋げる、インターネットの良き友人でありたいです。

マッキンゼーのコロナレポート

アフターコロナで生き残るためにはどうすればいいのか?

印象的だったのは、参加者からのこの問いに対して、
鈴木さんも長瀬さんも同じく、エンパシーとコミュニティの繋がりの重要性を強調しています。

「企業が事業の基本を見つめ直すように、個人も自分の生活や生き方を見つめ直す時間が増えています。それを安心して話し合える関係性やコミュニティの繋がりの重要度はますます増している。
電車好きな仲間たちと今の社会をどう見るか、
自分たちの存在意義についてコミュニケーションできる社内の関係性があるか、ブランドのファンがいるかどうか。
日頃からコミュニケーションをしている企業は、消費者が助けてくれる動きが出ている。ファンがいるブランドがない事業は、これからコミュニケーションにめちゃくちゃお金がかかる。」
「そして、一番身近な社員がとても大事。
企業が一番投資をしているのは人材。今回のことで離職する社員が増えてしまうことは、企業の終わりに近づいていく。
人材がいなければファンとのコミュニケーションも起きない。
社員の価値、ファンの価値、人との繋がりや関係性がすごく重要になってくる。」
人々と企業はよりパワフルになると思う。
コロナの体験は、戦争以外に世界で共有できる体験になる。コロナで体験した感情とストーリーは誰とでも話せる。アフターコロナでは、同じ体験をした仲間同士で、「あの時何してた?」「マスク二枚配布されてた。」という会話が生まれる。
だから、今何をしたのかは今後Twitterとかでまとめられる。ニューバランスがマスクを開発したり、メーカーがPPE製品を開発したりしたことは、未来でもニュースになるだろう。

最後に

鈴木さん
「人に会う機会が少なくなっているので、zoom飲み会やりましょうよ。雑談したい。自分のプリンシパルを人と話したい。」
長瀬さん
「zoom飲みをしましょう。しょっちゅうzoomをしながら勝手なことを話している。これを機に、コミュニケーションが増えるといいな。もっと「喋る」が増えるといいなと思う。」

話してえええ〜!zoom飲み誘ったら来てくれるかなw


さて、僕が一貫して持っていた疑問は、

「安心できる繋がりを持っていない人は、どうやってコミュニティにアプローチできるのか?」

うまくイメージができない人もいるかもしれない。ビジネスでうまくいっている人はいい。家族との関係が良好な人も大丈夫だろう。趣味で繋がる仲間がいる人もなんとかなる。

でも、繋がりが重要性を増す社会で、どうにもならない人が存在している。仕事の評価が低くて社内の関係性では安心できない人、
仕事を失って家族にも頼れずに滑り落ちていく人、
膨大な情報や環境変化からの不安・課題を吐き出せる人がいない人。

僕はマーケティングスクールmerc Educationの卒業生たちのコミュニティマネージャーとして

マーケターとユーザーが同じ感情を共有し、助け合い、一つの共同体になる世界を目指しています。

このコミュニティが願わくば、そんな人たちの助けになれればと思う。

マーケティングが、モノやサービスを通じて人と人を繋げる技術で在りたいと改めて思った、価値のあるコンテンツでした。

運営の方々、登壇者の皆様、ありがとうございます。

#adtechtokyo

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