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休学が終わる

ちょうど1年前の秋までは、内部進学で大学院に進む予定だった。

しかし当時取り組んでいた卒論のテーマが自分にはかなり難しく、気づけば自分の手には負えないものになっていた。


自分の課題に活路を見出せない日々を過ごすなか、当時声楽科に在学していた旧友(高校の同期)が参加する演奏会に行く機会があった。

彼の演奏を聴いて、わー、こりゃすごいな、と思った。

それと同時に、私ってこのままでいいんだろうか?と思わされた。

なんとなくで大学院に行っていいんだろうか?私にはもっと他にやりたい研究があるのではないか?行きたい場所があるのではないか?

私の中に閉じ込めていた考えが、開化した。

それから色々あった。

まず進学先を変えることにした。身近な先生にアドバイスをもらいつつ、他大の研究室訪問に行ってみたりした。

すぐに冬になった。研究室の同期たちは着々と卒論を仕上げていく。

私は何も進んでいなかった。

この頃は本当に自信を失くした。授業に出るのもしんどくなり、みるみるうちに体調を崩していった。年明けからは休学したので一日中寝て過ごすことが多くなった。2月に同期の卒論発表会があったが行かなかった。行きたくなかった。

この頃、気分転換がてら近所のレストランに一人で行ったことがあった。そこでパンを食べたら吐きそうになって、初めてパニック発作を起こした。身動きが取れなくなったので、親に迎えに来てもらった。
このときから外食が怖くなった。今では少し克服したけど、外出先で満腹になることが今でも怖い。

春休みに入ると、研究室の先生が昼食に誘ってくれた。大学の近所のインドカレー屋さんでカレーをご馳走になった。いちばん量の少ないカレーライスセットだったけど食べ切れたことがうれしかった。先生のことが好きです。

2月末には妹とタイに行った。あんなに好きだったタイ料理も身体が受け付けず、あまり食べられなかった。また旅行中私が余計なことばかり言うので、妹には帰国後しばらく口を聞いてもらえなかった。

卒業式の日は大学でアルバイトがあったので大学に行った。学生たちがキャンパスで写真を撮っていた。同期が卒業していくなかで、自分だけが取り残されたような気がして嫌だった。翌日に髪の毛をピンクに染めた。

そして5回目の新学期を迎えた。仲のよかった同期のほとんどは就職していった。私はバイトばっかりしていた。それはそれで楽しかった。

そのうち暇すぎてマッチングアプリを始めた。何人かに会って満足したので辞めた。

6月には北海道に行った。ずっと行きたかった利尻島でサイクリングをした。

あっという間に夏になった。

頓挫していた卒論の計画を練り直しつつ、ずっと大学院入試の勉強をしていた。

8月末に入試を受けた。合格だった。


長い夏が、終わった。

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