体温・筋温上昇による運動パフォーマンスの向上~神経伝導速度に着目して~
なんか大そうなタイトルにしてしまいましたが、知らないことや勉強途中なことを記しているだけです。
体温や筋温を適度に上昇させることで、その後の運動パフォーマンスの向上に貢献します。Bishop(2003)は、体温・筋温の上昇によって誘発される身体反応において、以下のポジティブな効果が望めると述べています。
・筋や関節の粘性抵抗の減少
・筋への酸素供給量の増加
・代謝反応の活性化
・神経伝導速度の増加
この中から、神経伝導速度に着目してみます。
神経伝導速度とは?
神経が電気信号を伝える速さとなります。
つまり、神経が筋への指令を送る速さとなります。
神経伝導速度と運動パフォーマンス
Methenitis et al (2016)によると、神経伝導速度はType II線維のCSAと有意な相関が確認され、神経伝導速度が大きいほど垂直跳びの跳躍高や等尺性レッグプレスのRFDが高いこと報告しています。
Type II線維はいわゆる速筋線維で、高いパワーや大きな力発揮が求められるパフォーマンスの向上に貢献します。TypeII線維の特性として、速い収縮スピード、高い電気的興奮性、速い興奮伝導性(=神経伝導速度)が挙げられます(村岡,2023)。
なぜTypeII線維では神経伝導速度が大きいのか?
Methenitis et al(2016)の考察では、
どうやら、ナトリウムポンプの数が多さがType II線維の神経伝導速度に影響を与えている要因の一つと考えられます。
(ちなみに、上述の引用した分には参考文献があって、それが50ページ以上のものだったので、後日気合入れて読みます…)
なぜ温めることで神経伝導速度が大きくなるのか?
現時点の私にはよく分かりません…
Biship (2003) Warm up I: potential mechanisms and the effects of passive warm up on exercise performance によると以下の文が述べられています。
そのため、Karvonenの報告をチェックする必要がありました。
Karvonen (1992) Importance of Warm-Up and Cool Down on Exercise Performance によると以下の記述があります。
またまた参考文献が出てきたので、(9)の文献をチェックする必要がありました。その(9)の文献が Hill AV: Living machinery; In: Six Lectures Delivered at the Royal Institution. London, Bell, 1945, pp 1-42. でした。まずPubmedやGoogle scholarでは出てきません。所属大学の図書館にも無し。大学図書館から他の大学の図書館に連絡をコンタクトを取ってもらいましたが、音沙汰は無し。
ということで、体温・筋温が上昇することで、なぜ神経伝導速度が大きくなるのかはいまいち分かりません。
”温めることで神経伝導速度が大きくなる”というような記述はよく見ますし、それは間違いではないはず。でも何故それが起きるのか。
私自身の文献調査も行き届いていないかもなので、もし知っている人いたら教えて下さい。
参考文献
Bishop (2003) Warm Up I : Potential mechanisms and the effects of passive warm up on exercise performance. Sports Med. 33(6):439-454.
村岡(2023)スポーツ指導者に必要な生理学と運動生理学の知識.
Methenitis et al (2016) Muscle fiber conduction velocity , muscle fiber compositon, and power performance. Med Sci Sports Exer. 48(9): 1761-71.
Karvonen (1992) Importance of warm-up and cool down on exercise performance. Medicine and sports training and coaching. basel: Karger, 190-213.