東京オペラシティアートギャラリー(東京都新宿区・初台駅 ミケル・バルセロ展)
東京オペラシティ内にあるアートギャラリーではミケル・バルセロ展が開催されている。こちらのアートギャラリー、あまり知られていない美術館ではあるものの、とてつもない広さで、じっくりと見れば2時間は余裕でいられるほどの展示数である。
今回のミケル・バルセロはスペインを中心に活躍したアーティスト。島育ちというのもあってその絵には海の生物をモチーフにした作品が多い。また、闘牛の国であるスペインらしく、闘牛を題材にしている作品も多くある。
ギラギラとした太陽、ギトギトとした生命の讃歌、そういったものが背景としてあるバルセロの作品は、大きなキャンバスにただ色を塗りたくるのに飽き足らず、キャンバス自体を変形させたり凹凸を作ったりしており、単純な絵画ではなくてむしろある種のインスタレーションの趣をなしているというのが大きな特徴になる。
ある時期にはアフリカの土着的な生活に身を置きながら、その民族・慣習といったものにも着目した作品を描いたり、また陶器(もちろんまともな形ではない)や塑像といったものにまでそのエネルギーを爆発させている。原色の圧倒的な力を強烈に見せつけ、とにかくインパクトが強く、鑑賞者の魂まで消費してしまうような引力を持っている。
生の匂いと背反する死の匂いまでも包括しており個人的はとても好みの作品である。
アートギャラリーには2フロアあり、基本的に企画展は1フロアでその上階にあるもう1フロアは常設展というのが多いのだけれど、そのあふれるパワーによって上階も侵食する。
上のフロアでは化学反応を用いた絵画や絵本、文学作品の挿絵といった常とはまた異なる意欲的な作品を主に展示している。その中でも印象に残るのはダンサーと一緒に作り上げた映像作品。粘土の壁を彼とダンサーの二人でひたすらに叩いてちぎって変形させて行くというパフォーマンス。グチャグチャに練り上げた造形の粘土をドーンと壁にブチ当てる様とか笑いがこみ上げてくるくらいめちゃくちゃやっている。でもカッコいいというのが卑怯。
ミケル・バルセロの展示を引き継ぐ形で水戸部七江の展示も行われている。最初はその強烈なインパクトに別人だとは思わなかったほど。キャプションがほとんどなくて、作品のタイトルを壁に直接かいている、という斬新な手法もまた興味深い。ミケル・バルセロと一緒に見るとお腹いっぱいになるレベルである。トイレはウォシュレット式。