見出し画像

チームラボボーダレス麻布台/PACE GALLERY(東京都港区・神谷町駅)

東京大学と東京工業大学の大学院生らによって作られたクリエイター集団であるチームラボ。プロジェクションマッピングなどで世間に認知され、今や至る所で彼らの名前を見かける。そんなチームラボの手がける没入型のミュージアムが東京都内に二つある。片方は豊洲、もう片方が2024年にできたばかりのチームラボボーダレス麻布台である。

正直なところチームラボの体感型展示をミュージアムとして扱うべきなのかはよくわからない。どちらかというと娯楽を中心としたアミューズメント施設という向きもあるかもしれない。とはいえ、なんというかその施設の中に入って体験(鑑賞)して、特に明確に提示されていないがある種のメッセージを鑑賞者が読み取る、ということを目的としているとすれば、チームラボボーダレスの空間そのものが現代アート作品として捉えられなくもない。

神谷町駅の改札からまっすぐ進めば辿り着く

なんて言い訳をしつつ、要は行ったことなかったから行ってみたかっただけなのだけれど、結論から言うと、とても楽しい施設であったことは間違いない。広大なスペースの中で時間ごとに移り変わる展示、音と匂いも含めて全身で楽しむような施設である。鏡張りになっている箇所が多く、錯覚を活かして広さがわからないような仕掛けになっているし、かと思えば隠れた通路のような場所が発見できたりもする。展示室自体が方向感覚を失うように配置されているのと、館内には敢えてマップが示されていないので(迷いながら行くことも目的の一つだから)、通路を探しながら新たな部屋を発見するというのも醍醐味。

まさに「さまよい 探索し 発見する」のです

入場口からまずはチームラボの説明および注意事項が映像として流れる。この時点で全体的にライトは控えめになっており、トンネルの中に入っているような非日常的な空間へと入り込む。説明が終わるといよいよ展示室へ。青く光った階段を地下に降りると、そこから展示室へのドアーが開け放たれる。いきなり光り輝くプロジェクションマッピングによって百花繚乱の風景が広がり期待度は急上昇。

いきなり百花繚乱で迷う

メインとなる部屋はやはり中央が小高い丘のようになっている部屋だろうか。入口からまっすぐ進むとたどり着く。いくつかある部屋の中では最も広く、壁も千差万別に変化する。丘はかなりの傾斜になっている箇所もあって、滑り台のように遊ぶこともできる。見学者は時節柄なのかインバウンドが半分を占めるという、なかなか興味深い感じだったのだけれど、多くの家族連れはこの丘を中心に遊んでいる印象。

丘の周辺 すべて光の映像 この部屋がメインでかなり広い
時間によって映像は変化する
こんな映像だったり
壁も床も常に変化する
あと音も豪華

正確な部屋の数はなんとも言えないものの、霧で描かれる絵の部屋、バブル状の球体が鳴り響く部屋、鏡張りの部屋、キューブの洞窟のような部屋、レーンに乗った球体が躍動する部屋、光が共鳴する部屋、四面全てが連動する部屋、四方の壁が波になる部屋、手書きの絵が泳ぐ部屋、視覚と味覚で味わうティールームなど10前後ある。その全ての部屋は時間ごとに変化し、また音や匂いもユニークなものとなっている。順路はなく、自由に動き回りながら発見して行くため、何時間でもいられるほど。むしろ順路も地図も定められていないため自分がどこにいるのか掴みづらく緊張感が常に続くのも刺激的である。トイレはウォシュレット式。

ファニーな部屋だったり
波のようにうねる通路だったり
静謐な空間だったり
球体が躍動したり
鏡張りだったり
色がさまざまに変化する
ここにも展示室があるの? と発見が多い
球体が光り輝く部屋 全体的に見学者が多い
同じ顔をしないミュージアム またいずれ来たいもの

・PACE GALLERY(東京都港区・神谷町駅)
アメリカ発信のギャラリーとして世界の各地で展開され、今や世界でも有数のメガギャラリーへと発展してきたPACEがいよいよ日本に上陸する、しかも麻布台ヒルズに新たに開設されるというアート界の注目ニュースが飛び込んできて半年ほど。春先に開館する予定が延期を重ねてようやくリリースとなり、満を持して訪問することに。国内でも注目度が高く何人かの見学者も見受けられる。

道路側から入れる展示室
麻布台ギャラリーの上階から入れる展示室
いよいよPACEがやってきた


いいなと思ったら応援しよう!